市議に配布された「黒塗り」の報告書
この記事の写真をすべて見る

 旭川市の公式サイトには「いじめの重大事態に係る調査報告書について」というページがある。

【写真】「加害者」と名指しされた男性を誹謗中傷する書き込みも

 2021年3月、中学2年生の女子生徒が凍死する痛ましい事件が起きた。当初、女子生徒が凍死した理由は不明だったが、同年4月、文春オンラインが「女子生徒はいじめを受けていた」と明らかにした。

 そのいじめの内容は筆舌に尽くしがたく、文春の調査報道によって悲惨な被害状況が明らかになったことから、市は同年6月に第三者委員会に調査を諮問。翌22年9月に調査の最終報告書が公表された。

 公式サイトには「御遺族の意向も確認しながら(略)非公開とすべき部分に黒塗りを施しております」との記述がある。リンクされているPDFを閲覧すると、164枚に及ぶ調査報告書を見ることができるが、かなりの範囲が黒塗りになっていることがわかる。

 ところが今年10月6~7日にかけて、「黒塗りなしの報告書」が流出していたことがメディアで報じられた。一体、何が起こったのか。週刊誌記者はこう話す。

「そもそも9月末ごろから、『黒塗りのない調査報告書が出回っている』という情報が流れていたことを、朝日新聞の北海道版が報じています。そして10月3日、市議の一人がSNSに『黒塗りではない報告書が、差出人名などがない封筒に入れられて郵便受けに届いていた』という内容を投稿。さらに5日、別の市議も『黒塗りのない報告書を見た』と市議会の委員会で発言しました。黒塗りのない報告書は原本を市の教育委員会が保管し、複写ですら市長など限られた関係者しか持っていません」

著者プロフィールを見る
井荻稔

井荻稔

ライター。福岡県出身。大手新聞社で主にサツ回りとしてキャリアを積んだあと、主に週刊誌やネットメディアで記事を執筆。フィールドはカルチャーから政治まで広いがゆえに、逆に得意分野はなし。趣味は映画鑑賞と暴飲暴食。

井荻稔の記事一覧はこちら
次のページ
非常に問題のある報告書