女子生徒の遺体が見つかった公園の管理事務所入り口には、多くの市民が冥福を祈って花や似顔絵などが飾られた(22年3月)

記者の質問から逃げた委員長

 黒塗りの部分には、凍死した女子生徒のプライバシーに関わる部分も含まれているという。遺族の弁護士は流出が被害者の尊厳を傷つけ、遺族に耐えがたい屈辱を与えるものと指摘。「断じて容認できない」と強く非難し、市教委に刑事訴追を求める要望書を提出した。

 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、凍死事件の発覚時から精力的に取材を続けてきた。小川氏はまず、これまでの経緯をこう振り返る。

「21年4月に旭川市の教育委員会が第三者委員会による調査を表明し、第三者委は22年4月に中間報告を公表しました。ところが、この時点でご遺族側は事実認定の一部を不満とする所見を提出しました。第三者委は9月20日に最終報告書を公表し、24日に記者会見を開きましたが、ご遺族だけでなく、出席した記者からも非常に問題のある内容との指摘が相次いだのです」

 小川氏によると、会見に出席した第三者委員会の委員長は、いじめを認定した理由として「心身の苦痛を感じている」点を重視したが、記者は「ツイッターや遺族の聞き取りによって認定したのか」と追及。すると、委員長は「認定した理由は説明できない」などと答えをはぐらかしたという。小川氏は「記者の質問から逃げている態度が、第三者委の問題点の全てを象徴していた」と批判する。

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遺族を傷つけるような質問も