市議会で最終報告の概要を説明する元市教育委員会教育長の黒蕨真一氏。22年9月に教育長を引責辞任した

報告書流出は遺族に対する嫌がらせ?

 第三者委員会については地元紙も問題視した。北海道新聞は22年4月16日に「旭川中2いじめ 遺族『尊厳傷ついた』 聞き取り1度『気持ち軽視』」との記事を掲載。同記事によると、第三者委員会が被害者の母親に行った調査は1回だけであり、時間も休憩を除いて合計1時間半だったという。さらに職業や生活習慣などいじめの事実と関係のない内容を質問され、遺族側関係者が「家庭環境に問題があるという先入観があるのでは」と疑問視していると伝えている。

 最終報告書が「死亡は自殺で、いじめとの因果関係は不明」としたことに、当然ながら、遺族は再調査を要望。今津寛介市長は22年9月22日、再調査委員会を設置する方針を表明した。今年8月に開かれた再調査委員会の会見では、生徒や教員らの聞き取りは終了したと回答。ただ調査の終了時期については「急ぐより納得できるもののほうが重要」とし、メディアは「来年度にまたぐ見通し」と報じていた。

 このような状況のなか、黒塗りなしの報告書が流出したわけだ。市教委の保管状態が問題視されているのは当然だが、X(旧ツイッター)などでは「遺族に対する嫌がらせを意図したのではないか」という推察も散見される。だが、小川氏の見解は全く異なる。

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あえて流出という乱暴な手段に訴えた?