アメリカン・リーグの本塁打王を獲得した大谷翔平(写真:AP/アフロ)
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 今季も二刀流で大活躍した大谷翔平選手。日本人初となるア・リーグの本塁打王に輝いた。米メディアで唯一の大谷番記者を務めた、『ルポ 大谷翔平』の著書もある在米ジャーナリストが見た米社会での大谷の姿とは。AERA 2023年10月16日号より。

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 大谷翔平の2023年は、故障による離脱という思わぬ幕切れとなった。念願のポストシーズン進出も叶わなかった。

 しかし、WBC優勝という劇的スタートで始まり、公式戦でも3年連続で二刀流の大活躍。最後の1カ月は出場できなかったにもかかわらず、11月17日(日本時間)に発表される予定のMVP受賞は確実だと言われている。

 打率や本塁打数、勝ち星、奪三振数といった個々の数字を他選手と比べても、大谷がどれほど優れているのか分かりづらいかもしれない。だが、各選手が投球や打撃、守備、走塁をひっくるめてどれほどの活躍をしたのかを測るWARという指標を見ると、大谷はメジャーでダントツ1位だ。しかも、フル出場した21年、22年の自身の数字を上回っている。けがをせずに終えていれば、「史上最高のシーズン」だったという見方もあるほどだ。

 3年連続でMVP級の活躍をしたことで、チームメートのマイク・トラウトから「現役最高選手」の座を引き継いだことに異を唱える現地専門家は、ほぼいなくなった。メジャーリーグの広告写真などでは、大谷が真ん中で、他のスター選手よりも大きくフィーチャーされる。

ロサンゼルス・エンゼルスのフィル・ネビン監督(中央)と、腕に違和感を覚え緊急降板した大谷翔平(右)=2023年8月23日、カリフォルニア州アナハイム(写真:AP/アフロ)

 MLBがつい先日発表した23年のユニフォーム年間売り上げランキングでも、大谷は日本人として初の1位に輝いた。

 サッカーのリオネル・メッシのように、大谷は名実ともに世界の野球界の「顔」となったのだ。野茂英雄やイチローを含め、そこまでの地位に上り詰めた日本人はいない。

 私のプライベートの友人で、オールスターに3度選出されたことのある元メジャー投手、ダン・ヘイレンは、大谷のサインがどうしても欲しくて、直筆の手紙を添えてエンゼルスにユニフォームを送ったほどだ。残念ながら、まだ返事はないらしい。

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