「このアップルウオッチ、ウオッチなのに時間も表示できないんです」
こう嘆くのは、都内の企業でシステム系の仕事をしている30代の独身男性だ。初期不良品でもつかまされたのだろうかと思いきや、アップルウオッチ自体はちゃんと動くという。一体、どういうことなのか。
「見た目もいいし、女の子にも自慢もできる! それでアップルウオッチを買ったんです。もちろん、ケータイはこれを使っているんですけどね」
そう男性は言って、おもむろに「Xperia Z ultra」を机の上に出した。筆箱ぐらいの大きさがある。うーん、でかい。
「ペアリングの画面から全然進まないんですよコレ。『iPhoneでApple Watch Appを開き、『ペアリングを開始』をタップします』と言われても、iPhoneを持ってないから先に進めないんですよね……」
「そりゃそうだろう」と内心思ってしまったが、念のため、何かアップル製品は持っていないのかと聞いてみた。すると、男性はiPhoneのようなモノをカバンから取り出した。
「iPod touchは持っているんです。でも、これだと使えないみたいで……」
iPod touchでペアリングを試みたが、アップルウオッチは全く反応しない。どうも、ペアリングをするのは「Apple Watchアプリ」がないと使えない。それはiPhoneしか対応していないようだ。さらに話を聞くと、男性の抱える問題はもっと深刻のようだった。
「職場の上司がそれじゃあんまりだと言って、もう使っていないiPhone4を譲ってくれました。でも、iPhone4だと使えないんです。アップルウオッチは『iOS 8.』以降が必要なんですけど、iPhone4だと『iOS 7』までしかバージョンを上げられない。ダメですね……」
iPhone4は2世代前のiPhoneだ。だが、アップルウオッチのサポートページを見ると、使えるのはiPhone5以降に限られている。どうやら、上司の厚意は意味がなかったというわけだ。
男性は語気を荒らげて、こう続ける。