この番組の中でも、芸達者なせいやの技が光っているのが「霜降り交遊録」というコーナーである。芸能人・有名人の架空の発言をリスナーが考えて投稿する企画だ。せいやは本物そっくりのものまねをしてメールを読み上げる。ものまねを得意としている彼は、どんな芸能人が対象であってもそれなりのクオリティのものまねをすることができる。せいやの技術によって、リスナーの投稿がさらに面白く感じられる。
霜降り明星の2人は、それぞれが違った魅力と能力を持っている優秀な芸人である。せいやより先にデビューした粗品は、ピン芸人として『オールザッツ漫才』(毎日放送)の「FootCutバトル」で優勝を果たした。斬新な視点のフリップ芸で爆笑をさらい、圧倒的なセンスを見せつけていた。その時点でピン芸人として有り余る才能を持ちながらも「スーツ着て漫才をしたい」と将来の展望を語っていた。そんな彼が相方に選んだのがせいやだった。
粗品が発想力や大喜利力に秀でた「頭脳派」の芸人だとしたら、せいやは動きや表情で笑わせるのが得意な「肉体派」の芸人である。せいやは折り鶴もまともに折れないほど不器用なところもあるが、見たものをそのまま覚えてしまう抜群の記憶力があり、それを生かしてものまねをしたり、ドラマやバラエティのワンシーンをそのまま口頭で再現したりすることができる。
せいやの独特な言語感覚
せいやには「イニミニ」で始まる意味不明なフレーズを唱えたりするような独特の言語感覚がある。それは理詰めで作られる粗品のネタとは一線を画す感覚的な笑いである。そのつかみどころのなさが底知れぬ魅力にもなっている。