果物の美味しい季節がやってきました!
初夏を感じさせる果実のひとつが、日本でも古くから栽培されてきた「びわ」。
とってもジューシーで、さっぱりした甘さの爽やかな味覚がたまりません!
びわと言えば長崎の「茂木びわ」が有名ですが、千葉県・南房総で栽培されている「房州びわ」は全国第2位の生産量。上品な甘さとその大きさに人気があります。
ここでは“御献上びわ”を栽培している富浦町をクローズアップ。
御献上ものの「房州びわ」を食べてみたいと思いませんか?

初夏の味覚、“御献上びわ”で有名な「房州びわ」を味わえるのはこの時期だけ!
初夏の味覚、“御献上びわ”で有名な「房州びわ」を味わえるのはこの時期だけ!

房州びわのキホン

びわ(Loquat)はバラ科に属する植物で、原産地は中国。その歴史は古く、千葉県におけるびわ栽培は宝歴元(1751)年に始められたとされ、約250年の伝統を誇ります。
富浦町では江戸時代に既に栽培され、地の利を生かして江戸の市場に出荷していました。
初めて房州びわを見た人は、その大きさに驚くことでしょう。黒潮が運ぶ温暖な海洋性気候のもとで育てられた房州びわはずっしり大きいのが特長です。甘みと酸味が絶妙なバランスを持ち、大変みずみずしく、かぶりつくと果汁が滴り落ちるほど! すっきりした甘みのさわやかな味覚で、初夏にぴったりの果物です。

歴史を誇る“御献上びわ”

房州びわの栽培が盛んな富浦町(現・南房総市)では、明治42(1909)年より、毎年、皇室へ房州びわを献上してきました。第二次世界大戦中の一時期を除いて献上は続けられ、昨年2014年には100回目を数えています。一果ずつ丁寧に袋かけされる御献上びわの品質と伝統は現在も続き、房州びわは今や高級果実の代名詞になりました。
現在、育てられている房州びわの品種は、主に次の種類です。
ハウス栽培(4月上旬~5月下旬)では「富房(とみふさ)」と「瑞穂(みずほ)」などで、1果が約70g~85gのサイズ。
露地栽培(5月下旬~6月下旬)では1果が約65g~80gにもなる「大房(おおぶさ)」と「田中」です。
標準的な茂木びわのサイズ(約40g)と比較すると、房州びわがどれだけ大きいかがよくわかりますね。

美味しく食べるには

びわの果肉はとても柔らかく傷みやすいので、手で直接触らないこと。鮮度が命なので、なるべく早く食べましょう。保存する場合は冷蔵庫ではなく冷暗所が適しています。常温が一番美味しいのですが、冷やして食べたい場合は、食べる1~2時間前ぐらいに冷蔵庫に入れるのがオススメです。さっと水で洗って、おへそのほうから頭の軸方向へ皮を剥くと、手でスルっときれいに剥けますよ。
びわには大きな種があるので、食べるところが少ないと思いがちですが、可食部分の割合はバナナとほぼ同じ。びわの果実や葉には様々な薬効成分が含まれるとして、びわ茶などで古くから民間療法に利用されてきました。
近年ではがんに効くという話もあり、注目が集まっています。びわの種で作った“びわ種酒”も効能があるそうですよ。

びわの楽しみ方あれこれ

「びわの種がなくならないものか」。
そんな思いに応えてくれる“種なしびわ”が登場しました!
「希房(きぼう)」という品種で、現在は千葉県内の限られた農家でのみ生産されています。びわのみずみずしさを存分に味わえると人気ですが、栽培に手間がかかるため生産量が少なく、希少品としてお値段も若干高め。これから生産量が増えて、値段が安定してくることを期待したいですね。
“びわの町”富浦町では、街灯もなんとびわの形!
また、2000年に全国道の駅グランプリを受賞した「道の駅とみうら 枇杷倶楽部」には、びわ茶やびわソフトクリーム、びわカレーなど、びわ加工品がずらりと並んでいます。もちろん、びわ狩りも体験可能。もぎたての房州びわは格別の美味しさです。南房総は首都圏からも近いので、この季節だけの味覚を求めて、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
参考:千葉県HP、道の駅とみうら 枇杷倶楽部(ともにリンク先参照)