紀子さまから受け継ぐ思い
もうひとつは佳子さまに見せた「手話」にまつわるエピソードだ。紀子さまは大学時代に手話サークルに所属し、手話では娘たちの先輩にあたる。障がいのある人たちを支える活動に熱心な現在の佳子さまへのきっかけともいえる「母の姿」をつげ氏はこう話す。
「平成26年に行われた第14回全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会に紀子さまに同行し、当時19歳だった佳子さまも出席されました。大会の催しのひとつとして、チェーホフの『三人姉妹』が上演されました。観劇後、紀子さまが演じた障がい者の方たちを労おうと舞台袖に行かれたところ、感激してみんなが大きな声で泣き出してしまいました。
その場にいた人たちは、紀子さまの前で大きな声で泣いている出演者を前に『どうしよう』という感じだったそうです。しかし紀子さまだけは落ち着いていらして、演技をされた方たちにさっと近づき、ひとりひとりにハグして『素晴らしい演技でしたよ』と感想を伝えられました。
そんな紀子さまの行動でその場は落ち着き、感動的なフィナーレを迎えることができたそうです。母である紀子さまの振る舞いを佳子さまは間近で見ていらっしゃいました」