「歴史的なストを見に来た」と語るフランス人男性(撮影/上田耕司)

 池袋に職場があるという別の40代女性は、昼休み時間を利用して、ストを見に来たという。その理由をこう話す。

「出身がこの近くなので、洋服、デパ地下の食料品、上階のレストランなど、家族や友達との思い出が一杯あります。池袋のシンボルなので、それがなくなっちゃうとしたら、さびしいですね。池袋駅東口からはすでに三越もなくなってしまいました。東口で目立つのは、ヤマダ電機、ビックカメラ、LAVI、そして西武百貨店の建物の中にヨドバシカメラができるとなると、本当に家電量販店ばかりになってしまう。景観が全然違ってくるし、池袋のいいところがなくなっちゃうような気がします」

 女性は西武池袋本店でアルバイトをしたこともあるという。

「学生時代にお中元売り場やイベントの催事場で働いていました。だから、もし縮小してでも、西武百貨店は残してほしいんです」

 現場には外国人の姿もあった。2週間前に来日したというフランス人男性(31)はこう話す。

「きょうはシャッターが下りているスペシャルデーになっていたので、写真を撮っていました。毎日、この辺を歩いています。61年ぶりの百貨店のストライキとは驚きです。時によって、ストライキという方法はとても大事だと思います。フランスでもあちこちでやっているよ。経営側に対して労働側がトライする方法だからね」

 自分だけが持つ西武百貨店への思いを重ね、訪れた人たちは歴史的なストを見つめていた。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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