既存の道徳観や生活様式に反抗する若者たちは、ひげや髪を長く伸ばし、ジーンズや奇抜なファッションを身にまとった。日本の座禅やインドのヨガなど、東洋の宗教に熱中する若者も現れた。そして、こうした新しい価値観を求める若者たちに熱狂的に受け入れられたのが、ロックミュージックだった。エルヴィス=プレスリーを経て、イギリスのビートルズなどの活躍で有名になったロックは、「反抗」「反逆」といった言葉で表される若者文化の象徴的存在となった。

 1969年8月にニューヨークで開催された大型ロックフェス「ウッドストック=フェスティバル」には、ヒッピーを中心とした若者40万人が押し寄せ、カウンター=カルチャーの歴史的イベントととして今も語り継がれている。

 しかし、古い価値観を吹き飛ばすような文化の爆発は、同時にアメリカの保守層に危機感をもたらした。この危機感が「キリスト教原理主義」へとつながっていったことも記憶にとどめておきたい。

(構成 生活・文化編集部 塩澤 巧)

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