「新たに課税事業者になることを選択すると、セットで値上げ交渉ができるような機運を作りあげていきたい。免税事業者については報酬維持で取引が継続できるようさらに呼びかけを強めたい」(平田麻莉代表理事)
実務の大変さが制度に反映されていない「矛盾」が早くも浮かんだケースもある。俳優や声優の業界団体、日本俳優連合は、膨大な事務作業を当局に要求されて途方に暮れている。池水通洋専務理事が言う。
「洋画がテレビで再放映されたりした際にテレビ局から使用料を徴収し、それをルールに基づいて吹き替えた声優に分配する事業をしています。使用料は年間約1億円で、配布先は毎年1千人程度にもなります。この分配金の消費税をどうすればいいかを国税当局に相談したのですが、一人ひとりに当たって課税事業者と免税事業者に『峻別』するようにとの一点張りでした」
制度を知らない人が大半だろうし、本人は亡くなり遺族が受取人のケースも多い。同連合の事務局は5人体制というから、確かに「無理難題」だ。(編集部・首藤由之)
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※AERA 2023年9月4日号より抜粋