場当たり的に都合のいい説明をしているため、国民からの受けがすごく悪くなっている印象です。官邸の中でどういう戦略を立てて、どう国民に説明していくかといったグランドデザインがないのではないでしょうか。

 小泉純一郎元首相のように、コンセプトを打ち出すのがうまい人であればなんとかなったのでしょうけど。岸田首相のキャラクターからするとグランドデザインもなく、細かい問題が露出するだけ。岸田首相を支えている官邸スタッフや各府省とのコミュニケーション不足ではないでしょうか。

 日本が財政難になっている理由は、経済成長ができていないからです。過去30年、日本経済はゼロ成長でした。一方、先進諸外国では経済規模を2倍に拡大させているところもあります。

 持続的に成長ができる経済政策を打っていかなければいけないものの、岸田政権の経済政策は目先のインフレ対策をどうするかなど、非常に近視眼的な政策ばかりなのです。また、人的投資としてリスキリング(=学び直し)で企業の生産性を高めるという話もあるのですが、具体的にどう学び直して、どう生産性を上げていくのか、詳細なプランはまだ決まっていません。あいまいな状況ですし、ますます岸田首相が言う「新しい資本主義」という意味がわからなくってきています。

安倍政権は消費税率を10%に引き上げた

 毎日新聞が7月22、23日に行った全国世論調査でも、岸田内閣の支持率は28%と下降し、6月17、18日実施の前回調査(33%)から5ポイント下がりました。

 また、安倍晋三元首相と岸田首相のどちらの政治姿勢を評価するかを聞く質問については、「安倍元首相」と答えた人が33%なのに対し、「岸田首相」の回答は10%にとどまっています。

 安倍元首相は岸田首相より、国民に負担を強いる首相でした。

 前出の法人税について、安倍元首相は法人税率を2016年度に29.97%に引き下げ、18年度からは29.74%まで下げました。資本金100億円超の大企業が受けた減税額の総額は、第2次安倍政権発足以来で3兆8千億円にもなります。また、安倍政権は2019年に消費税率を10%に引き上げています。

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