箱めがねがあれば、小さい子どもでも簡単に磯で水中を観察することができる(写真/PIXTA)

 記録的な猛暑が続いている。夏休みに入り、涼を求めて親子で海水浴に出かける機会が増えそうだが、海は水遊びだけでなく、多様な生物を観察する学びの場としても最適だ。砂浜や磯、干潟、漁港など、場所によって生息している生き物の種類はさまざまなので、何度でも楽しめる。

【写真】漁港で出合えるのはこんな魚

 7月31日に発売されたばかりの『すみかで比べる海のいきもの図鑑』は、海の生き物たちが水深や環境ごとに、どのような暮らしをしているのかをビジュアルで掲載。美しい写真やイラストで約200種を紹介している。監修は、テレビ番組などで紹介され、「海の手配師」として知られる石垣幸二さん。今回はこの本から、比較的行きやすい「潮だまり」「漁港」で見られる生き物と、観察のポイントを紹介したい。

潮だまりをのぞいてみよう

「潮だまり」は、干潮時に磯場の岩と岩のすきまに水がたまってできるもの。日当たりがよく海藻が育つため、海藻を餌にするウニや貝などさまざまな種類の無脊椎動物と、海藻をかくれ家にするカエルウオやハゼの幼魚たちを一緒に観察できる。近くの海で暮らす魚たちが卵を産んだり、その卵からかえった子どもたちを育てたりする保育園のような役割も果たしている。

干潮のときに磯場に現れる水たまりを「潮だまり」と呼んでいる(写真/PIXTA)

 観察の際は、干潮時刻の2~3時間前から活動を始め、満潮時刻を意識して早めに岸へ戻りたい。岩にはカキなどが多く付着しているので、軍手や長靴などで手足を保護し、なるべく肌の露出を防ぐこと。また、潮だまり付近の浅瀬には、ヒョウモンダコなどの強い毒性を持った生き物がいるので、むやみにさわるのは危険。採取には十分注意しながら、潮だまりでの観察を楽しむための3つのポイントを実践しよう。

Point 1 「箱めがね」「たも網」「観察ケース」を用意

 箱めがねは外から水中を観察できる道具で、これがあれば、海の生き物のありのままの生活をのぞき見できる。もっと近くで生き物を観察したい場合は、たも網ですくって観察ケースに入れる。観察ケースは幅が狭く魚は動き回ることができないので、細部をじっくり確認することができる。体長を測る目盛りがついているものもあり、百均で購入可能だ。

Point 2 自分だけの「ミニ水族館」を作ってみる

 観察ケースに複数の生き物や海藻などを入れて、生き物たちがどのように共生しているのか再現してみよう。

Point 3 動画や写真を撮影しておく

 きっちり撮影しておけば、帰宅後、図鑑と照らし合わせて確認したり、学校の自由研究の資料に使ったりと、観察した生き物の特徴をおさらいすることができ、夏の思い出にもなる。観察が終わったら、生き物を元の場所にかえしてあげることを忘れずに。

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