しかし、2018年11月22日に公表された会計検査院の最終的な検査結果では、この国有地売却の手続きや売却価格等については、基本的に不当性は認められなかった。森友学園問題には、結果的には、国有地売却問題として追及されるべき実質的な問題はなかった。その点に問題がないのであれば、昭恵氏が、森友学園の小学校の名誉校長になっていたとしても、国有地についての近畿財務局との交渉で、籠池氏側が昭恵氏の名前を出していたとしても、政権を揺るがすほどの問題になるようなことではなかった。
それが、国会での大問題となり、決裁文書改ざんが行われ、それを強いられた赤木俊夫氏が自殺するという事態にまで至ったのは、上記の安倍首相の挑発的な答弁が発端だった。それを受けた野党は、国会で与党側が圧倒的多数を占める「安倍一強体制」の下で、「一発逆転」を狙い、「安倍首相夫妻の国有地売却への関与の有無」についての追及を続けた。それは、「安倍一強体制」であったからこその「問題の単純化」だった。
一方、加計学園問題は、安倍首相(ないし昭恵氏)の関与の有無に問題が単純化されたという面では森友学園問題と同様だが、そこでの「関与」の意味は、かなり異なっていた。森友学園問題では、不当に有利な条件で売却が行われたかどうかが最大の問題であり、そこに問題がない限り、仮に安倍氏ないし昭恵氏が関わっていた、或いは、近畿財務局の担当者が、森友学園と安倍氏夫妻との関係を認識していたとしても、そのこと自体には問題はない。一方、加計学園問題に関しては、国家戦略特区の決定に対して、安倍首相の関与ないし意向が働いていたとすれば、それ自体が大きな問題だった。
内閣府が所管する国家戦略特区で、(a)獣医学部新設を認める規制緩和を行うこと、(b)獣医学部新設を認める特区を加計学園を事業者とする愛媛県今治市とすること、の二つの決定が所定の手続きを経たものでさえあれば、「違法性はなく、法令上の問題はない」とは言えるが、それだけで問題がないと言えるわけではなかった。