
役員報酬が多い人ほど、おおむねその企業の従業員平均給与との差が広がる傾向がある。妥当と言えば妥当にもみえる結果だが、役員報酬と従業員平均給与との差が500倍あまり開いたところもある。
7月18日配信の記事でも紹介した、23年3月期に役員報酬が多かった上位50人について、東京商工リサーチの協力のもと、それぞれの役員報酬と、所属する企業の従業員の平均給与を比較した。
1億円以上の役員報酬を得ている上場企業の役員は、10年3月期から有価証券報告書で開示するよう求められている。従業員の平均給与も、有報記載のデータを用いた。
すると今回、役員報酬が48億6700万円で最も多かったZホールディングスの慎ジュンホ代表は、同社の従業員平均給与912万9千円の533倍の報酬を得ていた計算だ(上の表)。
役員報酬が20億8300万円で2位だったソニーグループの吉田憲一郎・会長兼最高経営責任者(CEO)は同189倍。
役員報酬17億2300万円で3位だった武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長は同157倍、16億5400万円で4位だったPHCホールディングスのジョン・マロッタ前社長は同169倍だった。
トヨタ自動車の豊田章夫会長の役員報酬と従業員の平均給与の差は112倍、日産自動車の内田誠社長のそれは79倍だ。
東京商工リサーチ情報部の坂田芳博課長は言う。
「役員報酬が多いところほど、従業員給与との差は開いてしまう。ただし、役員報酬が多い企業は、もともと従業員の給料も一般的な企業に比べて高いものです。社員がどう思っているかは別として、それなりの開きがあるのは妥当な面もあるでしょう」
Zホールディングスの従業員平均給与は912万9千円、ソニーグループは1101万8千円、武田薬品工業は1097万7200円、PHCホールディングスは980万8千円で、年収1千万円前後の高い水準だ。