「Baby a Go Go」。1990年9月発売のこのアルバムは、その年の暮に無期限活動休止となった、RCサクセション事実上のラストアルバムだ。

88年の「COVERS」発売休止騒動、89年のザ・タイマーズでの活動を経て制作されたこのアルバムは、当初はデビュー20周年の顔となる予定だったと、東芝EMIでRCサクセションの宣伝を担当した高橋Rock Me Babyさんが当時を振り返る。
「年明けにはもうアルバムの制作準備は始まっていました。20周年を盛り上げていこうと音楽雑誌やカルチャー誌の表紙を1月から順に飾っていき、7月にアルバムを発売し、夏の各地での大型ロックイベントに出演、9月の日比谷野音4日間につなげていく予定だったんです」
しかし。
キーボードプレイヤーのG2が脱退することとなる。キーボード抜きのギターサウンドでのレコーディングがスタートした。
「リハーサルやプリプロ(仮録音)、30曲ぐらい進んでいたと思います。ローリング・ストーンズ的ギターロックで、これはすごいアルバムになるなという手応えを感じていました」
「Baby a Go Go」は、レニー・クラビッツのファーストアルバム「Let Love Rule」を手掛けたヘンリー・ハーシュとアシスタントのデイヴィッド・ドマニッシュのコンビを迎え制作されることとなった。
ところが今度はドラムの新井田耕造の脱退が決まる。ド派手なメイクやファッション、そしてエレキサウンドに転換した1980年の大ブレイク以降不動の5人組だったRCサクセションは、デビュー20年目に3人組となった。
3人で再開されたアルバムのサウンドは、リハーサル時とは一転、アナログでアコースティック、そして「COVERS」→「コブラの悩み」→「THE TIMERS」と続いた過激な歌詞内容からシンプルなラブソングなどが連なるものへ大きく転換された。