山梨県側が7月1日、静岡県側は同月10日に山開きが行われた富士山。コロナ明けの今夏、すでに混雑が報道されているが、登山者が増加すると増えるのがゴミだ。中にはとんでもない「困ったモノ」もあるという。環境保全に取り組む認定特定非営利活動法人「富士山クラブ」事務局長の七井辰男さんに話を聞いた。
【ゴミ写真】富士山麓の国道に投げ捨てられたペットボトルの中には
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富士山は2013年6月22日、ユネスコの世界遺産委員会で静岡・山梨両県に点在する25か所の構成資産とともに世界文化遺産への登録が決まり、今年は10年目の節目の年。
年間の登山者数は、世界文化遺産に登録される前の年の2012年が約31万8000人、登録された13年が約31万人と2年連続で30万人を超えた。
新型コロナウイルスの感染拡大で2020年は閉山だったが、2021年は約7万8000人、昨年は約16万人となっていて、コロナ明けの今年は20万人を超える見通しとなっている。
登山者や周辺への観光客が増えれば、当然増えるのがゴミ。「美しい富士山を、子どもたちに残すために」自然環境保護を進める富士山クラブの七井さんは、最近の富士山のゴミに関してこう話す。
「私たち富士山クラブは静岡側の五合目の4カ所で、ゴミの持ち帰りマナー向上事業を静岡県の委託事業としてやっています。マナーという意味では国内の登山者は心得ていらっしゃる方も多いですが、ここ最近はインバウンドの観光客が増えてきて、その方たちへのマナーの啓蒙も行っています。調査したところ、インバウンドの登山者はコロナ禍の21年は約7万9000人でしたが、昨年は16万人と増加しています。今年は山小屋が登山客を収容しきれないのではないかと、山開き直後にニュースになっていました。今年もインバウンドの外国人観光客に対してもマナーを守っていただくように発信を続けていきます」
こう話す七井さんが事務局長を務める富士山クラブでは、「日本の登山道にはごみ箱がないので必ず持ち帰ってください」ということなどを10カ国語でアナウンスしているという。七井さんによると、ここ最近一番多いゴミは「マスク」だ。