
キヤノンから世界最広角ズームレンズが登場した。ワイド端の11mmは、35mmフルサイズのイメージサークルをカバーする、一眼レフ用の広角レンズとしてはもっとも短い焦点距離だ。今回は試作レンズを短時間での使用だったが、新しい視覚を持つレンズというのが第一印象だ。あたふたと被写体との距離を変えるのが自分でも滑稽なくらい新鮮だった。
このレンズを実現するにあたり使われた構成レンズの種類がすごい。非球面レンズだけで3枚も使われている。コーティングも、キヤノン独自のSWCやASCに加え、前後部にはフッ素コーティングを採用。第1面の巨大で曲率の大きなレンズは研削非球面だ。重さも1kgを超えるが、EOS 5D MarkIIIに装着したときのバランスは悪くない。
フィルターはレンズ後部の差し込み式

リアフォーカスのためAFの動作はスムーズ。Lレンズなので防塵・防滴仕様で、屋外での撮影でも安心。ズーミングは回転式なので使いやすい。
キヤノンの技術の粋を集めたレンズといえる。コストがかかっているだろうし、特殊なレンズではなく、量産・市販されることも注目したい。写真を変える視覚を持ったレンズであることは間違いない。
◆赤城耕一


●レンズ構成:11群16枚(研削非球面レンズ1枚、非球面レンズ3枚、スーパーUDガラス1枚、UDガラス1枚)●最短撮影距離:0.28m(テレ端)●最大撮影倍率:0.16倍●画角:126°05′~84°00′●フィルター径:レンズ後部挟み込み式●大きさ・重さ:Φ108×132mm・1180g●価格:45万円(税別)

