
■政治的関心が高い人
山口准教授によると、陰謀論を信じやすいのは(1)50代、60代の中高年、(2)政治的関心が高い人、(3)優越感への欲求が高い人──の3タイプがある。
「まず、中高年は、これまでマスメディアの情報を疑いなく摂取してきたため情報を疑う癖がついていません。そのため、陰謀論だけでなく、真実の情報も偽の情報も信じやすい傾向にあります。逆に、若い層やネット歴が長い人ほど情報を疑ってかかる習慣がついているため、陰謀論に強い傾向があります」
政治的関心が高い人が陰謀論を信じやすいのは、陰謀論には政治的なものが多いからだという。そのため、政治的に極端に保守あるいはリベラルだと、自分のイデオロギーに有利な陰謀論を信じやすく、誤っていると気づきにくくなる。
最後の優越感への欲求が高い人は、他の人の知らない「真実」に自分だけが気づいているという感情があり、気持ちよくいられるからだ。
「安倍元首相銃撃に関する陰謀論を信じる人は、政治的関心が強く、優越感への欲求が高い人が多いと思われます。イデオロギーの強さも関連しているでしょう。しかも、陰謀論を信じる人は、安倍元首相が襲われた現場は『映像を見ると血を流しているように見えない』などの真偽不明の『根拠』を示し、拡散します。その結果、一定数の人が信じてしまうことになると考えられます」(山口准教授)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年7月17日号より抜粋
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