では、個人投資家にとってどのような銘柄が狙い目なのか。高配当の銘柄が人気だという。日本はゼロ金利政策が続き、預金にしておいても金利はゼロに等しい。株価に対する年間配当額の割合を意味する配当利回りが高いと、安定的にインカムを狙うことができる。とはいえ、業績や財務内容がボロボロだと減配や株価下落のリスクもある。専門家はどのような高配当銘柄に注目しているのだろうか。

 投資情報会社フィスコのアナリスト、仲村幸浩さんは、国際的な電炉メーカーの大和工業を挙げる。

 電炉はスクラップを原料にリサイクルして鉄鋼製品をつくるので、環境に優しいとされる。主力製品はビルや工場の建設に使用されるH型鋼で、業績は底堅いとみる。自己資本比率は前期末で85・6%と高く、キャッシュも潤沢で財務内容がいいという。純利益のうち、どれだけを配当に振り向けたかを示す配当性向の目安は30%から40%に引き上げたとし、株主還元にも積極的と指摘する。

 仲村さんはまた、タナベコンサルティンググループを挙げる。中堅、中小企業向けのコンサルティングを手掛け、今年2月以降、株価が急騰している。これは新たな株主還元方針を公表したことを受けたもので、「連結総還元性向100%を目安」、「株主資本配当率6%以上」などを掲げた。総還元性向は、配当額だけでなく、自社株買いを加えて純利益と比べたもの。仲村さんは、配当金が大幅に引き上げられていると指摘する。年間配当は1株当たり、前期が前の期比19円増配の42円で、今期予定が44円となっている。仲村さんは「内需系で景気に左右されにくく、需要はかなり安定している」とみている。

 さらに仲村さんは、住友倉庫を挙げる。住友グループの物流会社で、前期まで10年連続の増配だったと指摘する。今期は1円増配の年間101円を予定している。仲村さんは、自社株買いを継続的に実施していることや、持ち合い株の売却で資本効率の向上を目指していることもプラスと評価している。

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