実行委員会関係者は、
「かなり以前ですが、VIP席を設置したことはありました。増設するので全体的な席数に影響は少ない」
と説明。さらに強気な「超VIP席」の計画もあると明かす。
「桟敷席を設置して、飲食やお土産なども含めて、1グループで24万円という超VIP席も試験的にやってみようという話も持ち上がっています」(実行委員会関係者)
参考にしているのが、東北三大祭りのひとつ、「青森ねぶた祭」。昨年の開催では、1日2組の20万円席と1日1組の100万円席というプレミアム観覧席を設置。特別に設置された豪華な桟敷席、飲食や近くのホテル施設の利用、踊りの解説などをセットとして売り出したところ、いずれも完売したという。
阿波踊りは「同じ阿呆なら踊らにゃ損々」と、観客も一緒に「踊る阿呆」となって、踊りが広がることも魅力だった。しかし、
「阿波踊りを未来に残していくには、“踊る阿呆”だけではやっていけません」
と話すのは、実行委員会のメンバーであり、阿波踊りの連を束ねる「阿波踊り振興協会」理事長の山田実さん。
「阿波踊りをゆっくりと鑑賞したいと思う方々も大勢います。今の演舞場のスタンド席は仮設ですから、ゆっくり見られるようなものではない。1万5千円どころか24万円の超VIP席など、色々なアイデアを持ち寄り、チャレンジしていきたい。うまくいかなければ、また考え直せば良いのです。時代の変化は非常に早い」
VIP席は、いわば「見る阿呆」を大事にしていこうというプランだ。
「無料で踊れる場所も別に設置しているので『踊らにゃ損々』という伝統はそのままです。それより、お客様は有名連の踊りが見たいし、我々も見せたい。ただ今まで設定がない高い料金をいただくとなると興行の意味合いも出てくるので、踊りのクオリティーがより大事になる。総踊りを含め、レベルが高い踊りを披露しなきゃならんとプレッシャーの中、日々練習に励んでいます。それが入場料に見合ったものなら、チケットは高くとも必ず売れると確信しています」
(AERA dot.編集部 今西憲之)