明治大学駿河台キャンパスのリバティタワー(写真/アフロ)
明治大学駿河台キャンパスのリバティタワー(写真/アフロ)
この記事の写真をすべて見る

 大学受験の世界は目まぐるしく変化している。アエラでは、受験人口が多かった1993年と2023年を比較して「30年」を追った。大学数は大幅に増えたが、定員割れする大学も増加。さらに、大学に入学する18歳人口は、少子化の影響で減少が続いている。そうした中、この30年で変わり続けてきた大学もある。その一つ、明治大に迫った。AERA 2023年6月5日号の特集「変わる大学・高校」から記事をお届けする。

【合格者数ランキング】明治大に強い高校は? 旧帝、早慶、MARCH…30年で伸びた高校・消えた高校

*  *  *

 文部科学省「学校基本調査」(2022年)によれば、大学進学率は全国で56.6%。93年の28.0%から実に2倍だ。大学数も534校から807校と増えたが、定員割れした私大が4.9%から47.5%にもなった。今後も少子化が進むなか、大学側もうかうかしてはいられない。

「カギになるのは女子学生です」

 そう指摘するのは、進学実績をリサーチする大学通信情報調査部の井沢秀さんだ。

「理工系学部がやっきになっていますが、東大だって文Iの3割は女子学生です」

 女子生徒の4年制大学志向や短大の見直しなども相まって、女子学生の進学率は年々上がりつつある。

「今年、中央と立教、明治の法学部の合格者ランクのトップは女子校です」(井沢さん)

磨き続けたトイレと伝統 

 かつてはバンカラのイメージが強かった明治大も、女性の視点を意識してきた。

 同大入試担当副学長の加藤久和教授は言う。

「トイレを改修したり、女性のキャリア教育に取り組んだりと30年間変わり続けてきました」

 1998年に竣工した駿河台キャンパスの「リバティタワー」もその象徴で、トイレの個室の空き状況がひと目でわかる工夫がされていたり、パウダールームと洗面台がわけられていたりと細やかな気遣いが垣間見える。

 もちろん、磨き続けたのはトイレだけではない。

 女子学生向けのキャリア支援を強化するなど、様々な取り組みを重ねている。

次のページ
“職員総出”でアプローチも