日本最古の総合週刊誌が101年の歴史に幕を下ろす。雑誌メディアが過渡期にあるなか、恐縮ながら、象徴的な出来事ではあるまいか。最終号の表紙には、ありのままの編集部の姿を残してはどうか。
そう提案すると、部員の口から次々と「編集部あるある」エピソードが飛び出し、それまで重苦しく停滞していた会議の空気は一変。週刊誌が最も勢いのあった、古き良き昭和時代の編集部を表紙に、という方向性が瞬時に決まった。
ならば、“演出写真”の第一人者、浅田政志さんに撮影をお願いできないか──本誌の表紙撮影は初めてではないとは言え、唐突な依頼にもかかわらず、浅田さんは「光栄です」と即座に快諾してくれた。
事前に編集部をロケハンし、どこに何人配置してどう撮るか、打ち合わせを重ね、キャスト表を作成。必要な小道具を準備していく。
そして当日。浅田さんは撮影開始の5時間前に編集部入りし、撮影のセッティングをしながら、懐かしいバックナンバーなどを随所に配置。やがて集結したさまざまな服装に身を包んだ部員らに、立ち位置と役割とを伝えていく。何度か試し撮りを重ね、照明や位置を微調整。だが、何よりも浅田さんがこだわったのが、表情や動きだった。33人もいるスタッフ全員の体の動き、小道具の使い方から表情までを細かくチェックし、演出していく。結果、自然ながらも可笑(おか)しみのある一枚写真が仕上がった。合成などは施していない。
コロナ禍からの、休刊決定。人少なで、ぎくしゃくとした重い空気が立ち込めていた編集部に、久しぶりにたくさんの笑顔が満ち、一体感が生まれた瞬間でもあった。
時代がまたひとつ、変わっていく。
※週刊朝日 2023年6月9日号