漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこさんが「ペンディングトレイン─8時23分、明日 君と」(TBS系 金曜22:00~)をウォッチした。
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いつもと変わらない朝だった。突然列車内に鳴り響く緊急地震速報。激しい揺れに見舞われた直後、5号車は見知らぬ世界にワープした。生い茂る樹木、荒涼とした砂漠に海。彼方に見えるのは朽ち果てたスカイツリー。
ここは人類が滅亡した未来なのか。絶望的な状況で乗客たちのサバイバル生活が始まるってな楳図かずお先生の「漂流教室」ならぬ「漂流列車」。
もう絶対、楳図先生の描き文字による「ギャーッ」みたいな恐怖が目白押しかと思いきや、それほどホラー演出じゃない。
「ここで起きたことはすべて話し合って解決する」と言う理想派正論マンの消防士・白浜(赤楚衛二)に対するリアリストな美容師・萱島(山田裕貴)。
ピリッとしがちな二人の間に立つ体育教師の紗枝(上白石萌歌)。それぞれの乗客たちが極限状況に放り込まれたことによって、自分が抱えていたトラウマや心の傷と向かい合う。毎回そんなヒューマンな流れなのだ。
杉本哲太演じるサラリーマン田中のみ、「およげ!たいやきくん」を熱唱し、森で単独行動するなど不穏な動きを見せるが、ほとんどみんなおとなしく規律正しい。
住居代わりの列車のドアだって定食屋の戸くらい軽快にガラガラーッて開くしさ。松雪泰子演じる女社長は何日たってもアイブローとアイラインばっちりズレなし。