※イメージ写真
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 「墓参り」がインターネットを介して行うまでに変貌してしている。

 「日本ネット墓地協会」という団体が運営するのは、本来のお墓とは別にWEBサイト上に仮想的なお墓を設けて、ネットでの墓参りや記帳ができるようなサービスである。ペットの墓参りもできるそうだ。インターネット霊園は、いつでもどこからでもパソコンや携帯やスマートフォンからお参りができ、公開したくない場合はパスワードでログインする仕組みもある。

 他にも、お墓に設置したライブカメラで故人のお墓をパソコンの画面上に映して、お参りができるサービスを行っている団体などもあるという。
 
 古来、日本には「両墓制(りょうぼせい)」というものがあった。一人の死者について、死体を埋葬する「埋め墓」と、死者の霊を祀る「参り墓」の両方を併せ持つ墓制のことだ。前述したサービスなどは、この「参り墓」がサイバー空間上に復活したといえるかもしれない。

 墓参りにとどまらず、最近では「終末」全般にわたるサービスまで登場している。「Yahoo!エンディング」などがその例だ。もともとヤフーは、「ヤフーの葬儀手配」を先行して開始していたが、さらにこれを拡張した。「家族の死」だけでなく「自分の死」も含めたライフエンディングに備えて、自身の死亡時に備える『生前準備』、葬儀の総額見積もりをオンライン上で確認し手配できる『葬儀手配』、相続税や遺言状などの基礎知識を提供してネット経由で専門資格者に依頼もできる『相続・遺言』といったサービスで構成されている。

 海の向こうでは、こんなことも行われている。米国のベンチャー企業「Everplans」は、万が一のことがあったときに、家族が何をすればよいのかを伝えるサービスを提供している。具体的には、Everplansでアカウントを作り、以下の5項目のデータについての入力を行う。

●「個人的な情報(オンライン口座、生活全般の契約、家族向けの手紙)」
●「健康関連の情報(健康状態、生前意思、健康保険の契約証、蘇生意思の表示)」
●「お金の情報(遺言、生命保険契約、他の契約・法的資料、信託、委任状)」
●「老後の生活(介護保険等の契約内容、介護時の意思表示)」
●「死亡時(埋葬に関する意思表示、葬儀か記念行事かの意思)」

 ここで登録されたデータは、ユーザーが指定する家族などと共有できる。いわば、エンディングの“総合管理”といえる。

 いま、日本は急速に高齢化社会が進んでいる。ここから生まれるさまざまな問題、とりわけ「終活」がクローズアップされている。これらの問題を解決するために、いよいよITも名乗りを上げてきたということだろうか。