
プライベートでもビジネスでも、欠かせないものとなっているインターネット。その始まりは、1969年にアメリカ国防総省高等研究計画局(ARPA)が開始したARPAnet(アーパネット)であると言われている。
■もともとは軍事用に開発された
61年、ユタ州で3つの電話中継基地が爆破されるというテロがあり、国防回線も一時的に完全停止した。この事件は、電話では非常時にはまったく役に立たないことを米国防総省に痛感させた。時は米ソ冷戦時代。核戦争にも耐えうる通信システムの研究が行われていた。
「核攻撃によりネットワークが寸断された場合でも通信経路を確保する」ために、通信経路を1カ所に集中させないネットワークの仕組み、分散型ネットワークが考案された。データをパケット化(小包のように小分け)し、それを目的地に送り届け、目的地で再構成するという原理の土台もここに築かれたのだ。
69年、米国内4つの大学が参加し24時間常時つながっているネットワークが運用開始。これが「ARPAnet」である。この名はネットワーク構築の指揮をしていたARPA(アメリカ国防総省高等研究計画局)にちなんだものだ。
70年代に入り、ARPAnetに参加していない米国内の大学や研究所でも同様のネットワークがいくつかでき、80年代には学術ネットワークとして拡大していった。そして、90年ごろとなるとアメリカ中のネットワークが相互に接続され、これ以後、ネットワークは瞬く間に広がっていく。やがてパソコンが普及し、低価格になっていくと、軍事的な目的で生まれたインターネットも、広く人々の生活の中に入り込んでいったのだ。
■三つの大学を結んだのが始まり
一方、日本でのインターネットの歴史をひもとくと、どうやらそれは日本の計算機科学者で慶應義塾大学教授・村井純氏の試みに始まったようだ。84年、村井氏が個人的なデータ移動をするために、両大学に断りを入れることもなく接続したというのが伝えられるところである。
ほどなく、東京大学が加わった。これがJUNET(Japan University NETwork)であり、この実験的な取り組みから培われた技術や人材が、日本のインターネット接続事業者を生み出したということだ。JUNETは、日本のインターネットの原点ともいえる。となると、日本のインターネット発祥の地は、慶應義塾大学キャンパスであると言えなくはないだろう。