――『天才になりたい』も、3万部くらいは売れているのですが(笑)。

山:そうなんですか、それはよかった。たぶんうちの母親が1万2000部買ってますけどね(笑)。実家にいっぱいあるんで。まあそれで、今のみんなにぜひ読んでほしい本ということでお声がけいただきまして、加筆修正して13万部というありがたい数字になったんです。よかったです、よみがえらせてくれて。死んでたんです、確かに。

――おかげ様で13万部。どうしてこんなに売れたと思いますか?

山:みんな、嫉妬とかするじゃないですか。そういう部分が共感を呼んだのか……。または、「下には下がいる」と思ってもらえたとか。「自分が人間として最低だなと思っていたけど、もっと最低なヤツいるじゃん」って。読んだ方に、「むしろ今、めちゃくちゃがんばるチャンスなんだなって思える」と言ってもらうなど、いい本を書いたなと思っています。反対に、編集の方の考えとしてはどうなんですか?

――山里さんがありのままをさらけ出してくれて、それに共感した人が多いんじゃないかなと。

山:よく言われるのが、「そこまで書いてよかったんですか」ということ。そう言われて初めて、「そこまで書いたらいけなかったんだ~」と思いました。最初に原稿を直した時に、僕は全部実名で書いちゃっていたんですよ。さすがにそれはやめましょうということになって。だから、僕の嫌いな人を全部、編集さんは知っているんですよね。

■ほとんど前作の原形をとどめていない

――ご依頼を差し上げた時は、どういう気持ちでした?

山:そんなことできんの!?って。「『天才になりたい』はもうこれ以上は刷りませんよ」と言われていたし、本は1回出たらそこで終わりなんだと思っていました。でも2006年に出した本ですから、そこからの方が芸人人生は長いし、加えたいこともある。今だからこそ言えることとか、書き直したい部分もありました。自分でも前作を読みながら、「この部分は気取って書いているけど、こんなきれいな話じゃないな」とか、違和感を覚えていたので、シンプルにうれしかったですね。

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世の中に伝わっていない私