竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 皆さんは日頃、コンビニエンスストアへ向かう配送トラックを見かけたことがあると思います。ローソンでは現状、チルド・定温商品の店舗への配送は約7割の店舗で「1日3回」ですが、今年12月からは順次、全店で「1日2回」に切り替えます。

 配送ドライバーの労働時間規制に関わる2024年4月施行の働き方改革関連法への対応や、CO2排出量の削減・コスト抑制につなげるためで、配送回数を全店で減らすのはコンビニ大手では初めての試みとなります。

 以前はお客様の望まれる商品が「24時間、いつも店にある」ためにはこまめに店舗に届けた方が、という発想でした。しかし、当然ながら同じ配送ルートを1日3周しているわけで、ドライバーさんもガソリンも3回分必要です。

 商品開発や品質管理のノウハウが向上し、1日2回の配送でも十分、商品を店頭にそろえておけるようになってきたことが前提としてあります。

 そして、カーボンニュートラルな社会を目指す上で配送トラックの排出ガスとCO2問題を解決すべきで、配送回数を減らすことはそれに寄与できます。加えて、ドライバーさんの数も減り、人手不足になっている中、彼らの労働環境を担保しながら配送していただくことを考えると、やはり配送回数を減らしていくことが望ましいわけです。

 以前は配送トラックが早く着きすぎると、お店の前でトラックに待ってもらっていた時代もありましたが、これは効率、燃費双方に悪影響です。いまでは早く着いた時でも商品を受け取ってもらう体制を加盟店さんにはお願いしています。配送センターやベンダーさん(製造元)にもご理解・ご協力いただきました。サプライチェーン全体で、CO2とドライバーさんの働き方の問題を将来に向けて解決し、サステナブルなお店・流通を目指していきます。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2023年6月5日号