また、会社で上司とうまくいっていなかった人の中には、コロナ禍が「ありがたかった」人も多いだろう。そういう人も、対面で顔を合わせなくてはならない機会が増えていく。

「家庭での介護子育てなどを仕事とぎりぎりで両立させる中で、『テレワークだからこそ割けた時間』があった人も多いはず。『会社に出てこい』と言われて混乱し、不安を感じて調子を崩す方も多いです」(同)

 では、どう乗り切るか。

「たとえば感染リスクが小さい屋外でマスクを外してみて爽快感を体験するなど、『徐々に』コロナ禍での行動変容を解除していく。梅雨や暑い夏は、そのことを容易にすると思います」

 身内や親しい人との交流や出勤も「徐々に」増やしていく。そして周囲に意識を向け、外で「自然に楽しそうに」過ごしている人たちの様子をよく観察する。人間関係のポジティブな面を感じる機会になり、考え方が柔軟になって現状に調和しやすくなるのではと勝さんは言う。

「また、在宅・ゼロコロナ派と出社・ウィズコロナ派が対立しないよう、お互いを理解することも大切です。これからは『なぜまだマスクしてるんだ』などと言ってしまいがちかもしれませんが、3年間で定着した考えや生活を変えるには時間が必要。個人も社会も、その『中間を目指す』ことが大事です。職場では、会社が対面とリモートを選択できるハイブリッドを今後も採用することが、とくに重要になってくると思いますね」

■「コロナ後」特有のストレスのサイン(勝久寿さんへの取材をもとに編集部で作成)

(1)ノーマスクの人が気になる

(2)頻繁に消毒をしてしまう

(3)外食や飲み会は気がすすまない

(4)できれば対面での仕事は避けたい

(5)なるべく上司との接点を少なくしている

(6)運動がとても負担に感じる

(7)仕事とプライベートのバランスがとりづらい

(8)人ごみが苦手になった

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2023年5月29日号より抜粋