AERA 2023年5月29日号より
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 環境や季節の変化だけでなく、今年の5月、6月はコロナ後の様々なストレスも加わる。適応障害やうつ病にならないためにできることは。AERA 2023年5月29日号より紹介する。

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 春先からの生活環境の変化と、気候。今年はそれらに、コロナ関連の要素が加わった。5類移行などに伴う「コロナへの規制緩和という環境変化」もストレスになり得ると警鐘を鳴らす人もいる。

 人形町メンタルクリニック院長で精神科医の勝久寿さんは、「3年間主流だった『在宅・ゼロコロナ派』が『出社・ウィズコロナ派』にとって代わられたストレスだ」と話す。

「この3年は居場所を外に求め、人との交流をする人が不適応者として扱われ、居場所や人とのつながりをなくした人がストレスを強く受けていました。しかし、5月からは自宅(家庭)に居場所を求め、人との交流を避ける人が不適応者とみられ、出社や人との接触を『強要』される人が『コロナ後ストレス』を強く受けることが予想されます」と勝さん。

 背景には「出社vs.在宅、ウィズコロナvs.ゼロコロナという対立構造があり、会社では前者が管理職、後者が社員であることが多く、前者に押されてしまう恐れもあります」という。

「コロナ後ストレス」とはどんなものか。勝さんは指摘する。

「国を挙げて行動変容を迫られた3年間の後に、急に『これからは外に出て対面で』と言われてもついていけない人も多いでしょう。これらのストレスによる障害が急性に出れば適応障害として表れ、慢性的に出ればうつ病として表れる可能性がある。ストレスは生活様式が緩和されるにつれて徐々に表れるため、様々な反応が長期にわたって出る恐れがあります」

■八つのサイン

 コロナ後ストレスを感じている兆候としては、どんなものが考えられるか。勝さんは八つのサインを挙げる。

「マスク着用や頻繁な消毒など、3年間まじめに守っていた人の中には、周囲がその行動をやめていくことへの漠然とした恐怖や、マスクを外す人への反射的な怒り、そしてコロナ禍から離脱しようとする社会の流れに戸惑いや不安を感じる人もいるでしょう」(勝さん)

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