昨今は、乱暴な表現はネットの検閲で弾かれてしまう事情も関係しているのかもしれませんが、それでも「自分は正義と正論の下、至極まっとうな声を上げているのだ」、そんな高揚感すら伝わってきます。正義感は、人を「まともになった気」にさせてしまう厄介なものでもあるのです。

 とは言え、連日こうも様々な衝撃的なニュースが飛び込んできては、ネット民の皆さんも心休まる暇がないでしょう。無論、ネット民でなくても、磐石だと信じていたものが急激に揺らげば、そこに疑問や不安が生まれ、やがてそれらが怒りに変わっていくのも不思議ではありません。

 ただひとつ惜しいのは、「!マーク」をやたら付けたがる人が多いこと。臨場感や切迫感を「!」で押し切るのは、表現力や語彙に乏しい人の悪い癖です。中には句読点の後にまで「!」が付いていたりするものもあります。せっかくなら、正しく怒りを伝えられる方がよろしいかと。絵文字も極力控えたいものです。ましてや文の最後に「(怒)」など、もってのほかです。

 あと、「そうですか。よく分かりました。はっきり言います。二度と出ないでください!」と、勝手に対話形式になっているタイプの人。脚本の緩い独り芝居を観せられているようで、正直しんどいです。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2023年6月2日号

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