「ALWAYS 三丁目の夕日」に「ラーメン博物館」、
レトロにのめり込む日本人
まず、今のレトロブームが2010年代から続くものだということは、多くのメディアでも語られている。日本人の「ブーム」でメシを食っている大手広告代理店「博報堂」の方もこうおっしゃっている。
では、2000年代初頭は「レトロ消費」がなかったのかというと、そんなことはない。03年にNHKクローズアップ現代が「なぜか“昭和レトロ”が大ヒット~ブームの舞台裏~」という番組を放送し、モノが売れない時代に「昭和」を打ち出すと売れるという現象を取り上げている。実際、05年には昭和30年代を舞台にした「ALWAYS 三丁目の夕日」が公開され大ヒットした。
さらに、さかのぼれば1990年代も「レトロ」は売れた。それを象徴するのが、1994年に3月にオープンした、高度経済成長期の街並みを再現した「新横浜ラーメン博物館」である。
「社会学論考」(第32号2011年10月)の青木久美子氏の『変わりゆく「昭和30年代ブーム」』の中に、この時代の「ブーム」を端的に説明されている箇所があるので引用させていただこう。
もう少し探ると「昭和レトロブーム」の源泉はもっと古い。実は1990年代初頭だ。コラムニストの泉麻人さんが昔のテレビ番組やおもちゃを紹介する「テレビ探偵団」(TBS)が大人気となり、「昭和レトロ」に注目が集まった。筆者も当時は中高生だったが、つぶれかけのおもちゃ屋をまわって、「プレミアがつくかもしれない」と、昔の超合金やウルトラマンの人形、昭和スターのブロマイドなど買い集めていた。
つまり、Z世代がどうしたとか、デジタルネイティブがアナログに温かみを感じるうんぬんというのは、「後付け」にすぎず、日本人はこの30年間「レトロ」にのめり込み続けてきたのだ。