12月になると、あちこちの教会でこどもクリスマス会やチャペルコンサートが催され、気軽に入れる雰囲気に! なかでもイヴの「キャンドル・サービス」、真冬のロマンチックなデートにもイイ感じですよ。
この記事の写真をすべて見る教会の「キャンドル・サービス」ってどんなサービス?キャンドル・サービスと聞くと結婚披露宴が思い浮かびますが、「サービス」(service)は「礼拝」という意味。教会でキャンドルを灯して礼拝するのが本来のキャンドル・サービスなのです。ちなみに英語では「キャンドルライト・サービス」と呼ぶのが一般的だそうです。
聖書には、キリストの降誕を「すべての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた」と記しています。のちに、降誕を記念するクリスマス・イヴに、キャンドルを灯して「光として来られたキリスト」を礼拝するようになりました。キャンドルの火は、キリストだったんですね!
ところで、教会の話題でよく耳にする「神父さま?牧師さま?どっちかわかんない!」という疑問。少々乱暴な区別ではありますが、礼拝堂にキリスト像やマリヤ像があれば、だいたいそこはカトリック系の教会。独身の神父(司祭)さまがいるところだと思っていいでしょう。一方、プロテスタントの教会は像を拝まないので、あっても十字架くらいです。そこにいる牧師さまは、たいがいふつうに結婚しています。今回参考にしたのは、住宅街の一角にあるプロテスタントのかわいらしい教会です。クリスマスは待ち望むもの! 4週間前から始まるアドベント礼拝街でも年々クリスマスシーズンが早まっていますが、教会では4週間前からアドベント(待降節)が始まります。日曜ごとに会堂のキャンドルの火を1本ずつ増やし、だんだん明るくなっていくワクワク感の中でクリスマスを待ち望むのです。
日曜礼拝は誰でも参加できます。クリスマスには通りがかりに聞こえた賛美歌に誘われて途中から入ってくるカップルも多いそうですよ。キリスト教について何も知らなくても大丈夫。「席上献金」も志のある人が捧げるものなので、用意がなければまわってきたカゴをただ隣へおくればいいのです。
イヴにおこなわれるキャンドル・サービスでは、聖歌隊や会衆そろっての賛美、 感謝のお祈りのあと、牧師先生から聖書のみじかいお話が。すべての人は神さまに愛されているというメッセージ、心癒されます。
ちなみにお祈りの最後全員で唱える「アーメン」とは「本当です」という意味。皆このお祈りに心を合わせています、って証なんですね。
やがて照明が消えた暗闇の中、いよいよ点灯!
まずは壇上のキャンドルに火が灯され、その光を会衆のひとりに移します。そこから次々に隣の人に火が移され、やがて会場はキャンドルの光で満ちるのでした。その明るいこと! 手のひらや顔も照らされて温かく、幸せな気分です。揺れる光を見つめながら、賛美歌を歌います。誰でも歌える『きよしこのよる』を世界に広めた人たちって? クリスマスの賛美歌といえば『きよしこのよる』。
「この曲には『オルガンが壊れたので即興でギター伴奏の歌が作られた』という 有名な逸話があります。しかし実際は単に、当時いろいろな教会でオリジナルの讃美歌が作られていた、そのひとつであるということらしいです」(教会音楽家 遠山じゅごん氏)
そんなローカルな曲ですが、日本人でもたいてい一度は歌ったことがあるほど有名になったのは、トラップ家のおかげ。映画『サウンド・オブ・ミュージック』で描かれた実在の興業一家ですね。レパートリーとしてアメリカに持ち込み、英訳されたことで、世界中に広まったのだそうです。
「作曲者の自筆譜のコピーを見せてもらったことがありますが、じつは現在知られているものとメロディーが違います。コードが同じなのでそれほど違和感はありませんけれど。また原曲はドイツ語です」(同氏)
キャンドルを消して礼拝が終わると、お茶がふるまわれたりキャロリングにでかけたり・・・ほのぼのと楽しい夜になりそうです。
今年のイヴは、キャンドルを手に賛美歌! ピュアで厳かな気持ちで過ごせるかもしれませんよ~!