カニエ・ウェスト、『Jesus Is King』リリース後初の【サンデー・サービス】にケニー・Gやクリプス登場
カニエ・ウェスト、『Jesus Is King』リリース後初の【サンデー・サービス】にケニー・Gやクリプス登場

 カニエ・ウェストのニュー・アルバム『Jesus Is King』が2019年10月25日にようやくリリースされ、カニエ流のゴスペル・アルバムに早くも賛否が分かれているが、その2日後の27日、早速リリース後初となる【サンデー・サービス】が米ロサンゼルスのザ ・フォーラムで開催された。

 予定より1時間遅く、午後1時から開演した同公演では、『Jesus Is King』からいくつかの楽曲が初めてライブで披露された。アリーナ中央に設営されたステージには植物や木が配置され、ジェイソン・ホワイト率いる大人数のサンデー・サービス合唱団をバックに、娘のノースちゃんも登場する演出からは、イエス・キリストの伝道に真剣に取り組み始めたカニエの覚悟と、やるからには可能な限り心が高揚するサウンドにしようとする意図がはっきりと伝わってきた。

 例えば【サンデー・サービス】のセット前半で披露された「Follow God」では、もともとグルーヴ感のある楽曲がさらに肉付けされ、新たな命が吹き込まれていた。感情のこもった歌詞やライムをあまりにも早く繰り出してしまったカニエは、信仰心を表現するヴァースを2回続けて披露し、両サイドの合唱団が天にも届く声でゴスペルを歌い上げていた。

 また、「Use This Gospel」にフィーチャーされているサックス奏者のケニー・Gも出演したが、ステージに呼び込むためにカニエが名前を口にしただけで会場からは一段と大きな歓声が上がっていた。“イエスの名のもとに再結成した”とカニエが述べたノー・マリスとプシャ・Tの兄弟デュオ、クリプスも登場し、同曲の豪華な拡張版が披露される中、カニエはケニー・Gがサックス・ソロ、そしてクリプスがラップのパフォーマンスで観客を魅了する姿を満足そうに眺めていた。観客もメイン・リフレインを大合唱し、会場が一体となり純粋な抑えきれない喜びの瞬間が生み出されていた。

 今後はゴスペル曲しか出さないと明言しているカニエだが、現在の聖別された視点から過去の楽曲を再解釈してみたいとも発言したことがあった。その言葉どおり、今回のライブでは『ザ・ライフ・オブ・パブロ』から「Saint Pablo」と「Fade」を披露した。特に「Fade」は原曲の“your love is fadin’/I feel it fade”のフックと特徴的なベース・ラインが残されただけで、内容は原曲とは異なる健全でスピリチュアルな賛美歌に再構築されていた。

 一連の【サンデー・サービス】ライブ・シリーズの開催から『Jesus Is King』のリリースに至るまでのカニエの最近の活動について、彼がいきなり、または皮肉にも信仰に目覚めたと揶揄する声も聞かれるが、実は彼の作品には昔から宗教、信仰心、そして崇高な力などがテーマとして扱われている。2004年のシングル「Jesus Walks」もその代表的な例で、今回合唱団と共に披露された、感動が湧き上がるようなパフォーマンスは、【サンデー・サービス】のクライマックスとして全く違和感なく機能していた。