エミネム、マスター音源がユニバーサル・スタジオ火災直前にデジタル化されていたことが明らかに
エミネム、マスター音源がユニバーサル・スタジオ火災直前にデジタル化されていたことが明らかに

 2008年にユニバーサル・スタジオ・ハリウッドで起きた火災により、約50万曲分の貴重なマスター音源が焼失していたと米紙ニューヨーク・タイムズが報じたが、報道された多くのアーティストの中に名前があったエミネムのマスターについては、火災のほんの数か月前にデジタル化が済んでいたことが明らかになった。

 エミネムの広報担当者デニス・デネヒー(Dennis Dennehy)が、「全てではないとしてもほとんどのマスターのバックアップが取れていると確信している」と、デトロイト・フリー・プレスに話している。火災の被害を受けた保管庫にどの作品のマスター・テープがあったかについては明かさなかったものの、デジタル化がギリギリで間に合っていたことは確かなようだ。

 同紙によると、エミネムの出身地である米デトロイトのファーンデール地区で54 Soundスタジオを経営し、彼の元プロデュース・チームBass Brothersのマネージメントもしているジョエル・マーティンが、手元にあった全てのテープ・リールを自身のチームが2008年初旬にデジタル化したと話している。この中には、54 Soundスタジオでレコーディングされたエミネムの『ザ・マーシャル・マザーズ LP』(2000年)、『ザ・エミネム・ショウ』(2002年)、「Lose Yourself」、そしてドクター・ドレーなどのプロデューサーと米LAで録音した作品も含まれていたとマーティンは語っている。

 皮肉なことに、マーティンがテープの“徹底的な”バックアップ作業に着手しようと決めた理由は、エミネムのレーベルであるユニバーサル・ミュージックからマスター・テープを全てLAに送ってほしいと頼まれたからだったそうだ。「全てのマスター・テープを一か所に集める何らかの取り組みが進行中だった」と彼は話しているが、最終的にそれらのテープがどこに保管されたのかは知らないとのことだ。

 バックアップされた音質はマスター音源には到底かなわない上、デジタル・メディアにも別の劣化問題があるものの、“種々雑多のボーカル、楽器、ビート、そしてほかのサウンドが個々に録音されている”エミネムの24トラック・テープもバックアップされていることから、将来的にリミックスに使うことも可能だ。