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 読書は読解力と表現力を身につける最良の方法といえます。
難しい本を攻略させる、と意気込まず、絵や写真、文字を通して興味をもたせ、多彩な世界へと子どもたちを誘ってみてはいかがでしょうか。

■親子の会話を基本に良書になるべく多く触れる

 子どもの読解力が思うように伸びないことに悩むことも多いはず。読解力を伸ばしたいなら、まずは親が子どもの心の状態と向き合い、その喜怒哀楽をくみ取るところから始めましょう。なぜなら、子どもの心や言葉は親との会話によって育まれていくからです。 そうした下地をつくったうえで、初めて読書によって読解力を養うことができます。そして良書になるべく多く触れることが大切です。

 いろいろなジャンルの本に出合うことで、子どもたちはさまざまな世界を疑似体験し、メッセージを理解し、豊かな心を育んでいきます。

【小学校 低学年向き】

●『なつのいちにち』
はたこうしろう/作
偕成社

男の子が1人でクワガタを捕りに行く1日のできごとを描いた物語。日本の田舎の夏の風景が鮮やかに描かれている。試行錯誤する男の子の等身大の様子に共感できるはず。

●『ことばのえじてん』
篠崎晃一/作・監修
小学館

3000語以上の言葉が50音順に並び、言葉の意味や使い方をオールカラーのイラストつきで紹介。子どもの目線に立った説明に、言葉の面白さに目覚めそうな一冊。

●『ともだちからともだちへ』
アンソニー・フランス/作
ティファニー・ピーク/絵
木坂 涼/訳
理論社

「何もすることがない」とため息ばかりの怠け者のクマネズミ。ある日うれしい手紙をもらうが、誰からきたのかわからず...。何かをきっかけに変わっていく自分と、友だちの大切さが伝わる。

●『かいじゅうたちのいるところ』
モーリス・センダック/作
じんぐうてるお/訳
冨山房

自分の部屋がいつのまにか怪獣たちの住む国に!わがまま放題の主人公がやがて寂しくなって家が恋しくなる心に共感。センダックのユーモラスなイラストも必見だ。

●『泣いた赤おに』
浜田廣介/作
梶山俊夫/絵
偕成社

人間と仲良くなりたい赤おにのために、友だちの青おにがしてくれたこととは...。誰かのために何かすることの切なさが伝わってくる日本の童話の名作。未読の高学年の子どもたちにもぜひ。

【小学校 中学年向き】

『ハックルベリー・フィンの冒険』上下巻
マーク・トウェイン/作
西田 実/訳
岩波文庫

ミシシッピー川をカヌーやいかだで旅をする永遠の不良少年ハックと逃亡奴隷のジム。楽しいエピソードがたっぷり詰まった冒険物語は、いつの時代も子どもの心を刺激する。

●『八十日間世界一周』
ジュール・ヴェルヌ/作
鈴木啓二/訳
岩波文庫

約140年前「80日間で世界一周できるか」という賭けをした紳士がいた。1秒でも遅れたらアウト。全財産とプライドをかけた旅の結果は?今も色あせないハラハラ感が魅力だ。

●『バカなおとなにならない脳』
養老孟司/作
理論社

「バカって治るんですか」という直球から、「集中力をつけるには」というまっとうな質問まで、あらゆる質問に翻弄されながらもズバリと答えてくれる養老先生のQ&A集。

●『キュリー夫人』
伊東 信/作
ポプラポケット文庫

女性初、しかも2度のノーベル賞を受賞したキュリー夫人。彼女の子ども時代はどんなだったのか、なぜ研究を続けたのか。生身の人間としての生き様がひしひしと伝わってくる。

●『赤いろうそくと人魚』
小川未明/作
たかはしたかこ/絵
偕成社

暗い海より人間の世界のほうが幸せだろうと考え、わが子を人間に託す人魚の両親。その思いとままならない人間世界の厳しさにしんみりとする。日本にもある人魚物語も必読。

【小学校 高学年向き】

●『銀河鉄道の夜』
宮沢賢治/作
岩波少年文庫

少年ジョバンニが、親友カンパネルラとともに向かう「銀河のお祭り」。暗い夜空に輝く星の美しさ、銀河鉄道のときめき、亡き人への思いとジョバンニの心の動き。物語が堪能できる。

●『シートン動物記』
アーネスト・T・シートン/作
藤原英司/訳
集英社

強くて賢いオオカミが人間に捕まったときにとった驚くべき行動とは? 『オオカミ王ロボ』のほか、さまざまな野生動物の生態と生き様がいきいきと描かれている名作。

●『数の悪魔算数・数学が楽しくなる12夜』
H・M・エンツェンスベルガー/作
丘沢静也/訳
晶文社

算数の嫌いな少年の前に数の悪魔が現れて、算数の魅力を教えてくれる。数の不思議と面白さ、奥の深さがわかる本。算数から数学に変わる前の入門書としておすすめ。

●『霧のむこうのふしぎな町』
柏葉幸子/作
杉田比呂美/絵
講談社青い鳥文庫

夏休み、小6のリナは旅に出る。霧が晴れたあとに現れたのは、まったく見たことのない風変わりな町だった...。『千と千尋の神隠し』に影響を与えたといわれる物語。

●『車輪の下』
ヘルマン・ヘッセ/作
高橋健二/訳
新潮文庫

懸命に勉強し、難関の進学校へ入学するハンス。けれど厳しい規律に耐えきれず、次第にやる気を失っていく。主人公の苦悩に共感でき、現実に立ち向かう力を与えてくれる。

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