NYのロックバンド、ヴァンパイア・ウィークエンドの新作『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』がNo,1デビューを飾った、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
本作『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』は、2013年5月リリースの3rdアルバム『モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ』から6年ぶり、通算4作目となるスタジオ・アルバム。これまでには、2010年の2ndアルバム『コントラ』とその前作が、2作連続で1位を記録していて、本作は通算3作目の全米首位獲得となる。2008年のデビュー作『ヴァンパイア・ウィークエンド』は最高位が17位どまりだったが、ロングヒットを記録してプラチナ認定(RIAA)されている。
週間ユニットは138,000で、そのうちアルバムの純粋な売上枚数が119,000枚、ストリーミングによるユニット数は18,000と、セールス・ポイントがユニット数のほとんどを占めた。今年リリースされたロック・アルバムの中では最大のユニット数で、ストリーミングの弱いロック・バンドとしては、視聴回数(ストリーミング数)もそこそこ高かったといえる。ロック・バンドのアルバムが初動10万枚(セールス)を超えるのは、2018年12月1日付チャートで同1位を記録した、マムフォード・アンド・サンズの『デルタ』(214,000枚)以来5ヶ月ぶり。6月からスタートするライブチケットとの還元が、売り上げに大きく貢献した。
本作は、<コロムビア・レコード>移籍後初のアルバムで、同レーベルからは、3月16日付チャートでNo,1デビューを飾った、ホージアの新作『ウェイストランド、ベイビー』も首位獲得を果たしたばかり。この1年でコロムビア・レコードから1位に輝いたロック・アルバムとしては、昨年の4月7日付チャートで初登場した、ジャック・ホワイトの『ボーディング・ハウス・リーチ』もある。
先週4位にダウンした、ビリー・アイリッシュの『ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?』は再び2位に浮上。週間ユニットは70,000で、依然高い数字をキープしている。5位に下降したカリードの『フリー・スピリット』も今週3位に繰り上がり、再TOP3入りを果たした(48,000ユニット)。
今週4位に初登場したのは、米フィラデルフィア出身のシンガー/ラッパー=PnB・ロックの新作『Trapstar Turnt Popstar』。2017年11月に発表したデビュー作『Catch These Vibes』から1年半ぶり、2作目となるスタジオ・アルバムで、TOP10入りはシングル・アルバム両チャート共に、本作が初となる。これまでの最高位は前作の17位で、デビュー作の前にリリースしたミックステープ『GTTM: Goin Thru the Motions』(2017年)は、最高28位だった。初動ユニットは42,000で、アルバムの売上枚数はわずか2,000枚。一方、ストリーミングは圧倒的に強く、週間4,573万試聴を記録し計39,000ユニットを獲得した。
6位から5位に浮上したアリアナ・グランデの『thank u、next』は、前週の38,000から41,000に、わずかながらユニット数も上昇させている。おそらく、5月2日に開催された【ビルボード・ミュージック・アワード2019】でのパフォーマンス効果が、ストリーミング数に反映したと思われる。同アワードでは、前述のカリードと、8位にランクインしているBTS(防弾少年団)もパフォーマンスを行い、大きな反響を呼んだ。
昨年の5月12日付チャートでNo,1デビューを果たした、ポスト・マローンの 『ビアボングス&ベントレーズ』は、前週の12位から9位にTOP10復帰するという、驚異的なロングヒットとなっている。ポスト・マローンは、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』に提供したスウェイ・リーのコラボ曲「サンフラワー」と、12月末に発表した新曲「Wow.」が、いずれもソング・チャートでTOP3入りする大ヒットを記録。これらのヒットを受けて、両曲が収録される予定の新作が今年中にリリースされるかもしれない。Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、5月17日以降掲載予定となります。