本書は武士の高潔な生きざまを端正な筆致で刻み込んだ作者のライフワークとも言うべき一編である。作者は三作目の『銀漢の賦』(2007年刊行、松本清張賞受賞)以降、武士の精神のありよう…

10月号<br>文芸評論家 菊池 仁 Kikuchi Megumi<br>歴史の“場”を借りて、人間の生きる姿勢を描くの続きを読む