携帯電話やスマートフォンの普及に伴い、子ども同士のインターネットを介したトラブルが深刻化しているという。内閣府が2013年に行った調査によると、携帯電話・スマートフォンの所有率は、小学生で36.6%、中学生で51.9%と、小学生では3年前より15.7ポイント上昇した。小中学生でも容易にインターネットを利用出来るようになった結果、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での書き込みが原因とみられる不登校や、掲示板サイトでのなりすまし投稿による誹謗中傷、動画サイトを用いたいじめなどが問題になっている。こうした状況を改善しようと、子ども向けの情報モラル教材が開発された。
LINE株式会社と静岡大学は、子どもたちにインターネットの利用やマナーについて正しい知識を身につけさせることを目的に、「小中学生向け情報モラル教材」を共同で開発、希望する学校へ無料で配布を始めた。教材を用いたワークショップを通して、児童や生徒にインターネットとの上手な付き合い方やコミュニケーション方法について考えさせるのが狙いだ。
同教材は、静岡大学教育学部講師の塩田真吾氏を代表者として、2014年4月から開発をスタートさせた。5月からは、テスト教材を用いて佐賀県や岡山県などの小中学校で授業を行い、実施した学校の教職員の声を取り入れて改善を繰り返し、完成させたという。
教材は、スライド教材やカード、ワークシート、指導者用ガイドブックのセットになっている。議題に対し、カードを用いたディスカッションなどが行えるようになっており、例えば、「クラスの友達に言われて『嫌だな』と感じるのはどれ?」といった議題に対し、子どもたちに「マイペースだね」、「おもしろいね」、「まじめだね」などと書かれた5枚のカードを使ってディスカッションをさせることで、クラスメートとの考え方や感覚の違いを実感し、適切なコミュニケーションについて考えるきっかけにしたいという。
両者は今後、同教材を用いた授業の成果を検証していくという。また、学校側から要望があれば、LINE株式会社の社員によるデモンストレーション授業も実施する。塩田氏は、指導者用ガイドブックの中で「相手の状況や感情を想像し、自分の気持ちを上手に伝えられる力を育てるために、本教材をご活用いただければ」とコメントしている。
子どもたちにとってもインターネットは身近になっているからこそ、その特性や相手を気遣うコミュニケーション、トラブル事例などについて学ぶことは、これからますます重要になっていきそうだ。