パイオニアの30年ぶりのレコードプレーヤー(公式サイトより)
パイオニアの30年ぶりのレコードプレーヤー(公式サイトより)
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 最近、音楽業界で、「もう廃れた」と思っていた製品が次々と復活を遂げている。

パイオニアは30年ぶりにレコードプレーヤー(アナログターンテーブル)の新製品「PLX-1000」を2014年9月上旬に発売する発表した。一時はCDに席巻され、風前の灯火状態であったレコードプレーヤーだが、意外にもアメリカやイギリスなどでは、ここ10年の間に大きく売り上げを伸ばしている。同年6月には、アメリカのギタリスト、ジャック・ホワイトがリリースしたレコード「Lazaretto(ラザレット)」が、初週だけで4万枚の売り上げを記録し、LPレコードの売り上げ記録を20年ぶりに更新している。

日本でも、レコードプレーヤーは、クラブなどで活動するDJを中心に根強い需要があるという。多くのメーカーがレコードプレーヤーの生産から撤退する中で、そうした需要に応えるため、今回新製品の導入に踏み切ったようである。本製品もDJをターゲットとしており、強力なモーターを使ったダイレクトドライブ方式を採用したり、テンポコントロール機能を設けたりするなど、クラブでの使用に適した設計としている。

レコード復権にあやかるのは、メーカーだけではない。ローソンHMVは、90年代に「レコードの聖地」と呼ばれた東京都渋谷区の宇田川エリアに、アナログレコードとCDの中古専門店「HMV record shop 渋谷」を8月2日にオープンさせた。店舗面積は約500平方メートル。国内外の約 8万点のレコードを扱うとしている。

そして、発売から35周年を迎えたソニーのヘッドホンステレオ「ウォークマン」。カセットテープからCDへ、そして今やメモリーオーディオという形態へと時代と共に変化してきたウォークマンだが、同じようなメモリーオーディオが世の中に溢れるにつれ、かつスーマートフォンなどでも音楽再生が可能なため、ここ最近は、特にウォークマンでなくても良いという風潮もあったのだが、2013年12月に最上位モデル「NW-ZX1」が発売されると様相が変わってきた。同モデルが、音質を重視するといった原点回帰をおこなったことで、音楽愛好家や高級志向のユーザーからの評判が高まり、若い世代でも再び「ウォークマン」が注目され始めたようである。

また、子どもにも関係するリバイバルだって存在する。小学校で使うあの楽器にも、久しぶりの新製品が導入されたのだ。ヤマハが長年に渡って小学生向けに製造してきた鍵盤ハーモニカ「ピアニカ」を30年ぶりにフルモデルチェンジした。このおなじみの楽器「ピアニカ」は、ピアノに似た大型の鍵盤を備え、パイプを咥えて息を送り込むことで、音を鳴らすしくみになっているのは周知のとおり。鍵盤楽器と吹奏楽器の両方の特性を備えており、操作もしやすく、音階を学習するのに適しているという。今回登場した新型では、本体の軽量化をはじめ、子供が持ちやすいようケースの形状も改良。さらに本体側に接続するパイプの先端部にクリップを設けたことで、ここに長いパイプを挟み、パイプの長さを調整できるようにしている。これは同時に、吹き込み口が机などに接触するのも防ぐ役割があるなど、時代に合わせた改良が行われている。

更に、同社はソプラノリコーダーにも新製品が導入した。こちらは、東レが開発したトウモロコシやサトウキビを原料に使うポリ乳酸系樹脂「エコディア」をベース作られたリコーダーで、口に当てるものとしての安全性および製造時の石油使用量の削減によって、環境面でも配慮された製品となっている。

98年のピークから15年以上続く「CD不況」など、明るいニュースがあまり多くなかった音楽業界や楽器業界。この相次ぐリバイバルは、かつてほどの活気がなくなりつつあった業界にとって、久しぶりの明るい兆しなのではないだろうか。

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