私は思いました。「ピカソは女性にもてる男に違いない」。青雲の志を感じさせる魅力的な眼差しが女性たちを惹きつけるのでしょう。調べてみたら、彼の女性遍歴の豪華さはたいしたものでした。
何度か書きましたが、私は60代になって、急に女性の色気を強く感じるようになりました。女性と親しく接すると、何ともうれしいのです。頬っぺや首筋に触りたくなります。和服の袖からこぼれる二の腕を見るとキスしたくなります。まさに「回春」のときでした。
そして、自分自身が「回春」すると、急に女性にもてるようになったのです。ピカソも女性に対する意欲が満々だったからこそ、もてたのでしょう。その反対に、女性に対する興味を失ってしまうと、もてることもなくなって、さらに女性との縁がなくなるという悪循環に陥ってしまうのではないでしょうか。
私の女性に対する興味は87歳になっても衰えることがありません。それが生命の源泉になっています。60代で回春して本当によかったと思います。まだ回春していない人は何歳からでも遅くはありません。是非、挑戦してみてください。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2023年3月24日号