生命はどのように誕生したのか。その謎を解くカギは意外にも宇宙にあるという。極地や火山、深海など、極限の地に住む生き物を研究する辺境生物学者が、生命の起源と宇宙との深い結びつきについて興味深く語る。
 生命が太古の海で発生したとする定説に対し、地球外生命が地球に飛来したという宇宙起源説が、今世紀に入ってにわかに現実味を帯びている。別の天体で発生した微生物や有機物を内部に閉じ込めた隕石や彗星の破片が地球に落下、それが生命のタネになったというのだ。最新の調査によれば火星は過去に生命が生息可能な環境があり、土星の衛星エンケラドスも生命発生に必要な条件がそろっている。南極のバクテリアや深海の熱水噴出孔のチューブワームなど、過酷な環境に生きる生物がいることを考えると、最初の生命が別の星で生まれ地球にきた可能性は十分あると述べる。
「地球は“水の惑星”ではない」という衝撃の一文もある。水に覆われた水惑星では生物の知能は発達しえない、とも。なぜなのか。宇宙から見る地球は驚き、また驚き。まだまだ未知なるものを秘めている。

週刊朝日 2014年5月2日号

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