米国留学に際し、母親から渡されたリコーオートハーフgを手前に、右からペンタックス*ist DL2、父親から譲り受けたキヤノンVT Deluxe、そしてマミヤシックスは同じくカメラ好きだった祖父の愛用品。長谷川さんのカメラには家族の思い出がつまっている。後ろはコンタックスG1
米国留学に際し、母親から渡されたリコーオートハーフgを手前に、右からペンタックス*ist DL2、父親から譲り受けたキヤノンVT Deluxe、そしてマミヤシックスは同じくカメラ好きだった祖父の愛用品。長谷川さんのカメラには家族の思い出がつまっている。後ろはコンタックスG1
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山中湖の山荘でのスナップ。じっと自然を見つめ、哀愁が漂う愛犬の後ろ姿に、「動物と子供は自然と絵になる」と長谷川さん
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長谷川さんはブリザーブドフラワーの先生をしている妻の作品を撮り続けている。味わい深い色調の写真は、まるで印象派の絵画のようだ
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今春、ベネズエラ・カラカスからアトランタへ向かう機内から撮ったカリブ海。白く点在するのは雲。海底や海溝など色の違いで地形がわかるほど透明度が高い
今春、ベネズエラ・カラカスからアトランタへ向かう機内から撮ったカリブ海。白く点在するのは雲。海底や海溝など色の違いで地形がわかるほど透明度が高い

――最初のカメラは。

 高校1年生のときに1年間、アメリカに留学したんです。出かける前、カメラ好きの母親がリコーオートハーフgを持たせてくれました。記録として撮って、写真を送りなさいということです。これはいま見てもモダンなデザインで味がありますよね。学校に持っていって、友人たちをよく撮っていました。みな明るくノリがよくて、こっちから頼まなくてもいろんなポーズをとってくれた。その経験が、写真の面白さに気づくきっかけになりましたね。当時は現像するお金なんてないから、フィルムはそのまま船便で日本に送っていました。一度、途中で荷を破られて紛失してしまったことも。大事な思い出だし、いい写真もけっこうあったはずなのに。いま考えても残念です。

――それからカメラは。

 その後はどんどん芝居の世界に引き込まれていったので、とくにカメラに目がいくことはありませんでした。ただ仕事柄、ロケなどで海外に行くことも多いでしょう。そういうときはよく、使い切りのレンズ付きフィルムを持参していました。

 4年ほど前、やはり仕事でモロッコとスペインの旅に出ました。いつものようにレンズ付きフィルムを持っていましたが、あまりにも美しい風景が多くてあっという間に使ってしまった。そんな話をしたら友人が「デジカメにすれば」と。それでたばこをやめ、自分へのプレゼントとして1年間のたばこ代12万円の予算で購入したのが、ペンタックス*ist DL2。レンズはシグマの18~200ミリ。これなら1台でどんな被写体でも撮れそうでしたから。

――何を撮っていますか。

 ひたすら手軽なスナップ、多くは風景です。出合った美しい光景を残したいと思うし、気分的に楽ですからね。人にカメラを向けるというのは、なかなかできません。人と対面することの覚悟って相当のものですよね。ぼくらはふだん撮られることに慣れているし、それが仕事だから自然にしていられますよ。でも一般の人にとっては、カメラを向けられることが負担になるんじゃないか。だれもがウエルカムな気持ちではいられないんじゃないかと、ついいろいろ考えてしまったりするので。

 土門拳の写真が好きですが、あのポートレートはすごいですね。表情だけで個性をあますことなく表現している。人の顔の奥深さを感じさせます。ああいうのを見ていると、自分にはまだ人を撮ることに挑戦するだけの気概がない気がしてきます。

――整理はどのように?

 デジカメを買ってしばらくしたころ、ミュージシャンのCHAGEさんと仕事をする機会があったんです。いっしょにいると、ときどき楽屋にいる出演者みんなに、彼が撮った旅の写真のスライドショーをパソコンでおしゃれに披露してくれました。音楽もついていて、とてもすてきで心地よかった。見ていてとても楽しくて、ぼくもやりたいとすぐに思った。それからは、写真を撮る余裕のある旅ではできるだけシャッターを押して、素材を集めるようになりました。風景のほか、食べ物なんかもよく撮ります。

 旅から帰れば自分で編集して、スライドショーに仕立てる。余分なカットがないから、ビデオより面白い。でもいまのところ、それを見せる相手といえば、美大でデザインをやっている息子くらい。彼は冷静に良しあしを指摘してくれるんです。よく言われるのは、「枚数、多すぎるんじゃない?」ということ。ひとつの作品として考えれば、もっと枚数を絞ったほうがいいのはわかります。でも、どれも自分の体験を閉じ込めた写真だから、なかなか切り捨てられない。ブレたりして失敗かなと思う写真も、いい味を出しているような気がして。映像なら仕事柄、冗長な編集だと気になるけれど、写真だとつい冷静さをなくしてしまうんです。(笑)

※このインタビューは「アサヒカメラ 2008年12月号」に掲載されたものです

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