わたしは、ライヴも大好きだけど、家で、音楽を聴くのも大好きだ。
ところで、読者のみなさんは、どんな方法で音楽を聴かれているのだろうか?
今では、家で音楽を聴くといっても、多種多様な聴き方がある。もっと、話をしぼろう。いろいろな再生メディアがあるというテーマにしよう。それも、今までのレコードやCDという、形のある、ものとしてのパッケージソフトだけでなく、インターネットでダウンロードして音楽を聴くという新しい方法も、定着してきた。データだけのやり取りで音楽を聴くという方法だ。そして、その中には、CDよりも、情報量の多い、つまり、音のよい音源が配信されるようにもなってきた。
それらに対応して、オーディオの世界も変化してきた。いや、活性化してきたといってもよいだろう。
それらは、お金をかければよい音になるという、一昔前のオーディオの世界ではなく、テクノロジーを工夫すれば、大金をかけることがなくても、よりよい音が手に入る可能性も出てきた。デジタルの力が、だんだん現実的になってきたというところだろうか。しかも、曲名やアーティスト名も手軽に手に入れたり、確認したり、検索できたりもする。
しかし、そのためには、パソコンの知識などが必要になってくる。これらが苦手だという方も多いと思う。
そこで、今回は、まず、「もの」としてのメディアについて書きたいと思う。
少し前のことだが、音楽好きの友人たちと3人で話をしていて、意見が分かれたことがある。わたしは、CDよりもレコードのほうが音がよい、そして、CDよりDVDのほうが音がよい、と主張したところ、一人は、CDで充分だ、と言った。もう一人は、小さなトランジスタ・ラジオで聴いても感動する音楽でなくてはいけないと言った。
おわかりとは思うが、3人とも視点や嗜好が違うということだ。
まず、トランジスタ・ラジオの話をした友人は、ミュージシャンだ。つまり、自分が作詞作曲をし、演奏もするというところで、音楽を捉えているのだろう。トランジスタ・ラジオで聴いても感動する音楽を生み出したいと思っているわけだ。もう一人は、手軽に聴けるメディアで充分ということだ。少しでもよい音、気持ちのよい音で聴きたいという、わたしの欲望などわかってもらえなかった。
いうまでもないが、よい音、気持ちのよい音で聴きたいと誰もが願うとは思うが、どこまで努力するかは、個人によってとてつもない差があるのだと思う。
そんなことを考えながら、今までの経験に基づいて、わたしの意見を整理してみよう。
本当に、レコードは、CDより音がよいのか?あるいは、同じレコードでも、日本盤とオリジナル盤では、オリジナル盤のほうが音がよいのか?ちなみに、オリジナル盤とは、そのレコードが初めて作られた時の、その国のレコード盤をいう。
わたしの結論はこうだ。CDよりレコードのほうが気持ちのよい音がすることが多い。
が、すべてとは言えないのだ。CDのほうがよい盤もある。また、よい音というより、聴いていて気持ちのよい音と言っておきたい。
また、オリジナル盤のほうが気持ちのよい音の場合が多い。
が、やはり、すべてというわけではない。日本盤、あるいは、復刻盤のほうがよい場合もある。
では、どういう理由で、このようにバラバラな状況になってしまうのか。
それは、音楽を録音した後、レコードにするまでにかかわる様々な作業の中でレコードの音質が影響されるということだ。もちろん、レコード時代に録音された音源をCD化するときも同じだ。録音をした元のデータやテープからCDにするための過程で音質の変化がある。
レコードを作るときの原材料の違いさえ、音質に影響があるという。特にレコードに関しては、各国によって、また、作られた時代によって、音が違うのだ。評論家の中には、レコードは、一枚一枚音が違うと言い切る人さえいる。
また、CDの音を決める場合、リスナーがどのような環境、装置で聴くのか、を考えながら調整していくことになる。たとえば、アーティストにもよると思うが、ラジカセなどで聴いている世代に向けての音楽の場合、ラジカセでかけた時に一番気持ちよくなるように調整することになる。そのため、高級オーディオで聴くと、なんとなく違和感があるのに、ラジカセで聴くと、とても気持ちがいい、などということもおこることになる。
では、CDとDVDでは、どちらの音がよいのか?あるいは、ブルーレイはどうなのか?まず、データ量ということであれば、CD<DVD<ブルーレイということになる。つまりブルーレイのデータ量が、一番多い。ただし、そこには、映像も入ってくるので、音のデータ量がかならずしも多いとは限らない。また、再生機器の差もある。たとえば、同じ価格帯のCDプレーヤーとブルーレイ・プレーヤーを比較すると、音質だけで見た場合、ブルーレイのほうが不利である。
しかし、音楽を中心に考えるならば、CD<DVD<ブルーレイの順に、よい音になるはずである。アーティストによっては、新譜を出すときに、CDだけでなく、アナログ・レコードもリリースしたり、DVDとセットにしたりする形態も出てきた。
ニール・ヤングのアーカイブス・シリーズは、CDだけでなく、DVD版、ブルーレイ版とメディア別に発売されている。これらは、CD<DVD<ブルーレイの順に気持ちがよい。
また、ディスクではないが、ビートルズも、USBで高音質音源を販売している。金属製の緑のリンゴに、USBが差し込まれている。ほしくなるでしょ?
前置きが長くなってしまった。しかし、まだ、書き足りない。次回は、SACD(スーパー・オーディオCD)やDVD-オーディオについても触れてみたい。
さて、お待たせしました、小野リサ。
彼女をはじめて見たのは、CDデビュー直後のプロモーション用のライヴだった。彼女のデビューは、メディアでも話題になっていたので、歌声は聴いていたが、本物の小野リサは、可憐で美しい歌声だった。
彼女の父上が経営している四谷のライブハウス、ブラジル音楽と料理の店「サッシペレレ」に、わたしは20代のころから行っていたので、もしかすると、小野リサの歌う姿を見ていた可能性はあるが、記憶の中では曖昧である。
その後の彼女の活躍は、日本を超えて世界規模だ。最近は、日本語のポップスを歌う『Japao』の第2弾『Japao 2』が発売された。
また、今回は、ジャズ・ボッサの聖地ベッコ・ダス・ガハーファス(酒瓶の袋小路)の女帝とも呼ばれるレニー・アンドラーヂと同じステージに立つ。
ブラジルの風を感じに行こう。[次回10/9(水)更新予定]