先日、米・アマゾン社の創業者でCEOを務めるジェフ・ベゾス氏が、自らの個人資産で老舗新聞社「ワシントン・ポスト」を買収することが発表されました。ベゾス氏は、同社の経営に口を出さないと明言しつつも、新聞とインターネットの融合を推進することを示唆しています。
アマゾンをめぐる報道で思い出されるのが、同社史上「最大の買い物」と呼ばれたザッポス社の買収。日本法人がないため知名度はさほど高くありませんが、アマゾンは「唯一恐れた会社」と言われるザッポスの買収に、日本円でおよそ830億円を費やしました。
ザッポスは、1999年に創業したアメリカ1位のオンライン靴店。創業から10年で年商1000億円を突破し、アメリカのネットの靴販売市場において約3分の1のシェアを獲得。『フォーチュン』誌が選ぶ「最も働きたい企業」ランキングにおいて、2011年は6位、2012位は11位と上位に選ばれました。
現在でも、独立した経営を維持している同社のCEOを務めるのは、台湾系アメリカ人のトニー・シェイ氏です。シェイ氏の成功とザッポス社の経営哲学は、書籍『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』で語られています。
ザッポスが何よりも重視しているのは、顧客へのサービス。アマゾンは、サービスを重んじるザッポス社の企業文化を学ぶために、同社を買収したとも言われています。例えば、送料や返送料は、購入後365日以内であればすべて無料。サイズが合わなかった靴や、気に入らない靴も対象です。