今年も娘の小学校の読み聞かせボランティアに立候補した。朝、授業が始まる前の10分間、子ども達に本を読んであげる、というとても楽しいお手伝いだ。
昨年の3学期は忙しくて一度も手伝えなかったので、朗読のカンを取り戻すべく、最近は小学6年生の娘に毎晩童話を読聞かせている。
今読んでいるのは、ラング世界童話全集のうちの「ばら色の童話集」という色々な国の物語が詰まった本である。イタリアの童話「かえる」を読むと「イタリアらしい話ね。登場人物がみんなポジティブだし」「でもちょっとオチがいまひとつだね」などと、おませな娘がストーリーの批評をしてくれるのが楽しい。フランスの童話「がみがみおやじ」を読むと「フランスらしく、なかなかシュールだったわね」なんて大人びた口調でコメントをくれる。
本の内容よりも、娘の感想を楽しみに毎晩読んでいたのだけれど、今夜は〆切で頭がいっぱいで、とうとう読むことができなかった。
すると思わぬところから追及があった。それは隣の部屋の息子であった。
「ねえ......今夜はお話、読まないの?」
なんとヤツは、隣の部屋から耳をそばだてていたらしい。そして割と楽しんでいたようで「昨日の、がみがみおじさんは、結構面白かったよね」とニヤニヤしている。
そういえば息子が小さい時には、いやというほど絵本を読んだ。1日に10冊以上読んだこともある。息子は読み聞かせが大好きで、何冊でもずっと聞いてくれていた。
今でもその本好きなところは息子にわずかに残っているらしい。この頃はマンガを読みゲームしているだけの自堕落な生き物に成り果てていたので、これは少しうれしいハプニングだった。
ということで私はもう一工夫して、読み聞かせの前に毎日30分読書の時間を設けてみた。家族3人黙ってただ本を読む静かな時間を送ろうと思ったのだけど......。
おしゃべりな私たちは、気づくと読書の手を止め、とりとめもないことを語り始めている。最近はジュニア小説のプロットを皆で作っていてこれが一風変わった勇者が出てくる話で、なかなか面白い。「ママこれを本に書いてよ!」とせがまれ、ちょっとソノ気になっている私なのだった。