安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに政治と宗教の関係に注目が集まっている。だが、関係があったのは政治家だけではない。これまで全国のさまざまな自治体や社会福祉協議会(社協)は宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)からの寄付を受け取ってきた。これについて、旧統一教会の問題に取り組む弁護士らは「行政が教団の活動にお墨付きを与えかねない」と批判する。AERA dot.は北海道から九州まで計11の自治体と社協に取材し、旧統一教会からの寄付を受領した経緯を尋ねた。寄付の公表が結果的に教団の活動を支援していると見られかねないことに対して、どう感じているのか。
【写真】世界平和統一家庭連合から寄付を受けたことを知らせるホームページ
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問題が明るみに出たのは、神奈川県小田原市だった。
7月、守屋輝彦市長が市のホームページのコラムに「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)が開催したバザーの収益金10万円を市へ寄付され「心から感謝申し上げます」と記載していることが報道された。
同市に確認すると、過去にも旧統一教会から2回の寄付があったという。
最初の寄付は2018年に3万円、2度目は20年でマスク350枚。さらに「世界平和統一家庭連合」が「旧統一教会」であることを認識したうえで寄付を受領したという。昨年にも関連団体「ピースロード in Japan 小田原実行委員会」から12万円の寄付を受けている。
今回の寄付は教団が今年3月下旬に行ったチャリティーバザーの収益金で、同市の説明によると、自民党の池田彩乃市議に紹介され、5月2日、市長室で寄付金を受け取った。
「寄付金の財源はチャリティーバザーの収益金であり、子育ての施策のために使ってほしい、という趣旨のため、寄付金の受領自体は適切であったと判断しています」と、小田原市広報公聴室の担当者は説明する。その一方で、こうも語った。
「このところの社会情勢に鑑みまして、今後の寄付の受領については慎重に対応する必要があると考えています」
善意の寄付金に制限はない
AERA dot.が取材を進めると、旧統一教会は全国各地の自治体や社会福祉協議会(社協)に対して幅広く寄付を行っていることがわかった。