7月29日、全国霊感商法対策弁護士連絡会 旧統一教会めぐり会見する、山口広弁護士
7月29日、全国霊感商法対策弁護士連絡会 旧統一教会めぐり会見する、山口広弁護士

 こうした一連の流れを、専門家はどう見るのか。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会の代表世話人、山口広弁護士は、こう指摘する。

「この寄付金は要するにダーティーマネーですよ。それを旧統一教会の別働隊、つまりダミー組織から受け取っているわけではなく、家庭連合から直接、しかも旧統一教会と知ったうえで受け取っているとは……」

 なぜ、チャリティーバザーの収益金がダーティーマネーと結びつくのか?

「旧統一教会はチャリティーバザーに集まった人を誘って信者にしていく。お客さんに『住所とお名前をお書きください』と言って、その名簿をもとに勧誘する。家系図講演会とか、本当の幸せを考える会とか、いろんなイベントに誘うわけです。そして『バザーにご協力いただいたお礼も兼ねて参加費をお安くします』などと言うんです」

 旧統一教会が全国の自治体や社協に対して繰り返し寄付を行っていることについても、山口弁護士は「各教会が本部に『ほうれんそう』(報告・連絡・相談)をして、それが褒められるものだから、ほかの地区の教会もまねをする」と、説明する。

「寄付は全国で」と教団

 寄付活動について、旧統一教会である世界平和統一家庭連合の広報部に確認すると、次のような回答があった。

「当法人は宗教団体ですので、地域貢献、社会貢献を一つの使命として感じております。なので、こういった寄付活動を全国で行っています。ただし、それを教会本部が指示している、ということはありません」

 では、チャリティーバザーをきっかけに信者を勧誘しているのか?

「チャリティーバザーから、伝道活動、布教活動するようなことは行っておりません」(旧統一教会)

 今回の取材で職員の一人は「ご寄付いただけるということで、ありがたくいただきました」と、あっけらかんと語った。その言葉は、旧統一教会への度重なる寄付で破産に追い込まれた家族の胸にどう響くのだろうか――。

「旧統一教会は寄付をテコに自治体や社協の行事に参画し、施設を使う便宜を得るなどして勢力や影響力の拡大を企図しています。少なくともこの寄付金は、一般市民から出させたものか、信者に指示してしぼりとった金です。そんな金を自治体や社協は受け取ってよいのでしょうか」

 先の山口弁護士は、そう苦言を呈した。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)