作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、旧統一教会と政治のつながりについて。
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「あの統一教会系合同結婚式に祝電 安倍晋三とのただならぬ関係 次期首相にふさわしいのか!」週刊朝日2006年6月30日号の記事。この3カ月後に首相になる51歳のまだ若い安倍さんの顔写真が、統一教会の合同結婚式の写真(イメージ)と重なって写っている。記事の本文はこんなふうにはじまる。
「会場には8千人余りが詰めかけ、盛大な拍手が鳴り響いた。司会者らしき男性がステージに立ち、誇らしげに名前を読み上げた。『祝電がいっぱい届いておりますが、その中から数個ご紹介を申し上げます。岸信介元総理大臣のお孫さんでいらっしゃり……』と紹介されたのは、ポスト小泉の最有力候補で、いまをときめく安倍晋三内閣官房長官(51)である」
記事は、旧統一教会を母体とした天宙平和連合(UPF)の会合を取材したもので、自民党のなかには選挙で統一教会の支援を受けたり、秘書を派遣されたりしている議員がいることにも触れている。影響力のある政治家が、被害者の多い宗教団体の広告塔の役割を果たすことを疑問視する記事で、当然、統一教会と岸信介氏との関係についても言及されている。
「統一教会」と、新聞雑誌記事データベースを検索すれば、数千もの記事がヒットする。そのほとんどが信者や信者の家族の被害を訴えるものだが、なかには、この週刊朝日の記事のように、自民党議員とのつながりを指摘する記事もいくつも出てくる。1992年には金丸信氏が、文鮮明教主の入国のために法務省に圧力をかけた疑いが報じられ、元信者が自民党議員の選挙応援にかりだされたことを証言している。1986年には、岸信介氏ら、自民党議員が中心となった「国家秘密法」の制定運動に、統一教会が母体の国際勝共連合が莫大な資金援助をしていたことも、大きく報じられていた。