寺井尚子のアルバム『ホット・ジャズ』リリース記念ツアーの千秋楽が、5月23日に日本橋三井ホールで行われた。
本アルバムは、寺井が12年振りに一新したレギュラー・グループとともに完成させた最新作。まず「クロードのタンゴ」からコンサートは幕を開け、冒頭から寺井のヴァイオリンは“全開”状態に。ピアニスト佐山雅弘とのソロの掛け合いは実にスリリングで、相互作用によって変幻自在なフレーズが繰り広げられた。またドラムの荒山諒とパーカッションの松岡“matzz”高廣の2人のリズムによるバトルも新しい寺井尚子クインテットの見せ場の1つ。そして、「平成生まれ」とMCでも紹介された荒山と、ベースの瀬田川貴は2人とも20代で、ライブごとに成長を続けバンドに新しい風を吹き込み、「リベルタンゴ」と「ノヴェンバー」では、ヴァイオリン&ピアノによるメロディと、ドラム&パーカッションによるリズムの絡み合いによって、これまでにない緊迫感とダイナミクスを生み出した。
寺井はMCで「昨年新バンドを結成し、2015年1月にレコーディング、3月25日にアルバムをリリース。ずっと、このツアーの千秋楽を思い描きながらこの5人で一歩一歩歩んできました」と振り返った。そしてコンサート終盤には「みなさんのエネルギーをまた明日からのパワーにして生きていきたいと思います。皆さんにとっても笑顔あふれる毎日でありますように」と語り、アルバムのハイライトでもある「スペイン」によってコンサート本編が終了した。そして、アンコールではKINCHO蚊取り線香2015年CM曲でもある「ハッピー・バード」と、軽快なアレンジの「枯葉」を演奏。拍手は鳴り止まず、さらに再アンコールとして寺井尚子のライブの定番「セント・トーマス」で幕を閉じた。新たなバンドを始動してから1年に満たないとは思えない完成度と一体感。ほぼ新譜の収録曲のみのセット・リストからも寺井尚子の新たなバンドにかける思いが感じられた。
◎公演概要
【寺井尚子『ホット・ジャズ』ツアー2015 東京公演
日時:5月23日(土)17:00開演
会場:日本橋三井ホール
セットリスト:
1.クロードのタンゴ
2.イン・ザ・ヴェルヴェット
3.ブルー・ボッサ
4.フラジャイル
5.風のストーリー
6.リベルタンゴ
7.スロー・ダンス・オブ・ラヴ
8.ノヴェンバー
9.シェナンド―
10.スペイン
(アンコール)
11.ハッピー・バード
12.枯葉
(再アンコール)
13.セント・トーマス